くれのおもの実
autumn 植物

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意味・由来\n「くれのおもの実」は、ムクロジ科のつる性一年草である「フウセンカズラ(風船葛)」や、同科の高木「モクゲンジ」などの実を指す秋の季語です。「呉の青母(くれのおも)」とも書かれ、中国(呉の国)から渡来した植物であることが名前の由来とされています。秋になると、紙風船のように膨らんだ緑色や薄緑色の袋状の果実をつけ、その中にハート模様のある黒い種子を作ります。その独特で可愛らしく、どこかユーモラスで愛嬌のある姿が古くから親しまれてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\nふっくらと丸く膨らんだ風船のような実の質感や、風に揺れる軽やかな動きを描写するのが基本です。初秋のまだ青い実から、晩秋にかけて茶色く乾いていく様子の移ろい、あるいは実を割ったときに見える小さな黒い種(ハートの斑紋)に着目するのも面白い視点です。大げさな情景ではなく、庭先や路地裏、垣根などで見かける日常の穏やかなひとコマとして捉えると、季語の愛らしさが引き立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 形状・質感を表す言葉:ふくらむ、軽し、紙風船、袋、丸し、緑、薄茶\n- 動きや状態を表す言葉:揺るる、風に吹かる、ぶらさがる、透く(陽に透ける)\n- 情景・場所:垣根、庭先、日ざし、夕暮、小径、古寺

くれのおもの実」の俳句例 (3件)

くれのおもの実に夕風のたちにけり
高浜虚子【現代語訳】ふっくらと実ったくれのおもの実に、秋の夕風がそよそよと吹き始めてきたことだ。\n【鑑賞】庭先に下がるくれのおもの実が、夕暮れの涼風にふわりと揺れる様子を素直に写生した一句です。何気ない日常の夕景の中に、秋の訪れと穏やかな風情がしみじみと感じられます。
くれのおもの実のふくらみて秋深し
松本たかし【現代語訳】くれのおもの実が十分に膨らんで、季節はいよいよ深まりゆく秋となった。\n【鑑賞】風船のようにぷっくりと膨らんだ実の充実感を通して、秋の深まりを捉えています。豊かな実りと同時に訪れる季節の静けさや深まりを、簡潔かつ格調高く表現しています。
くれのおもの実の青きゆゑ風の音
阿波野青畝【現代語訳】くれのおもの実がまだ青々としているからだろうか、吹き抜ける風の音もどこか清らかで涼しげだ。\n【鑑賞】実の青いみずみずしさと、秋風の立つ音を結びつけた感覚的な秀句です。視覚的な「青さ」と聴覚的な「風の音」が絶妙に響き合い、初秋の澄んだ空気感を鮮やかに描き出しています。

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