鴻雁来る
autumn 動物

鴻雁来る

こうがんきたる

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意味・由来

「鴻雁来る(こうがんきたる)」は、二十四節気の「寒露」の初候(10月8日頃)にあたる七十二候の一つで、北国から雁(かり)が日本へ渡ってくる時期を表す季語です。「鴻(こう)」は大型の雁、「雁(がん)」は小型の雁を指し、これらが群れをなして空を渡る様子は、本格的な秋の訪れと冬への兆しを告げる風物詩として古くから親しまれてきました。冷たい北風に乗って、整然とした隊列(雁行)を作って渡ってくる姿は、季節の大きな節目を感じさせます。

この季語で詠むコツ

空を見上げて雁の群れを捉えるという視覚的なアプローチだけでなく、夜間に聞こえる「カリ、カリ」という独特の鳴き声(聴覚)や、肌を刺すような秋風の冷たさ(触覚)と結びつけると、より立体的な句になります。また、遥か彼方のシベリアなどから命がけで海を渡ってきたという生命のダイナミズムに注目し、旅情や自然への畏敬の念を込めて詠むのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

時間帯を表す「夕月」「秋の夜」「ともしび」、空間を表す「湖」「干潟」「葦(あし)」など、水辺や静寂を想起させる言葉と美しく調和します。また、「旅」「便り」「ふるさと」といった、郷愁を誘う人間の営みや心情を添えることで、より深い余韻が生まれます。

鴻雁来る」の俳句例 (3件)

雁来るとばかりに月の曇りけり
正岡子規【現代語訳】雁が渡ってきたからであろうか、それに応じるかのように、冴え渡っていた月がほんのりと曇ってきたことよ。 【鑑賞】北から渡ってきた雁が空を横切る瞬間、月がわずかに薄雲に覆われる様子を捉えています。自然界の微細な変化を連動させ、秋の夜の寂寥感と繊細な美しさを表現した名句です。
雁来たる夜や一升の酒の恩
与謝蕪村【現代語訳】雁が渡ってきたという声を聴く秋の夜よ、しみじみと酌み交わす一升の酒のなんとありがたいことか。 【鑑賞】雁の声を聴きながら、温かい人の情や酒の旨さを楽しむ風情が描かれています。旅情を誘う雁の到来と、庶民的な「一升の酒」という対比が、秋夜の温もりを際立たせています。
雁来ると鳴くや夜がちの小筵に
飯田蛇笏【現代語訳】「雁がやって来たぞ」と鳴き渡る声が聞こえる。夜寒が身に染みるこの小さな筵の上に座って、その声を聴いているのだ。 【鑑賞】冷え込む秋の夜、粗末な筵(むしろ)の上で独り、雁の渡り声を聴く寂寥感を詠んでいます。肌に感じる「夜がちの寒さ」と、雁の鋭い鳴き声が、日本の伝統的なわび・さびの情緒を伝えてくれます。

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