雁来る
autumn 動物

雁来る

かりきたる

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意味・由来

「雁来る(かりきたる)」は、仲秋(新暦の10月頃)の季語で、北方のシベリアなどから日本へ越冬のために渡ってくる雁の第一陣を迎える情景を表します。雁は古くから秋の訪れを告げる代表的な渡り鳥として親しまれており、その鳴き声や、整然とした列(雁行)を組んで空を渡る姿は、日本の秋の美と哀愁の象徴です。「初雁(はつかり)」とも呼ばれ、厳しい冬が始まる一歩手前の、どこか寂しくも美しい季節の節目を捉える言葉です。

この季語で詠むコツ

雁の「声」や「群れの形」を単に写生するだけでなく、それによって呼び起こされる「旅愁」や「寂しさ」、あるいは「時間・空間の広がり」を意識して詠むのがコツです。夕暮れ時の空の広さ、夜の静寂、冷えていく空気など、周囲の環境変化と雁の存在をリンクさせることで、読者にその場の空気感を鮮明に伝えることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間や光の表現(夕月、夜寒、夜明、灯火)
  • 静けさや孤独感を漂わせる言葉(旅寝、庵、枕、遠く、畳)
  • 風景の広がりを示す言葉(野、山々、雲、はるか)

雁来る」の俳句例 (3件)

雁鳴くや一里はなれてともしび二つ
正岡子規【現代語訳】雁が鳴き渡っていく。その声が響く夜の暗闇を見渡すと、一里(約4キロ)ほど離れた場所に、ぽつりぽつりと二つの灯火が見えることだ。【鑑賞】広大な夜の闇と、そこに響く雁の声、そして遠く離れた二つの明かりの対比が、秋の夜の寂寥感と静けさを美しく描き出しています。
初雁やよき国にきて夜の明くる
小林一茶【現代語訳】今年初めての雁が渡ってきた。この素晴らしい国(信濃の国)に無事にたどり着き、ちょうど美しい夜が明けていくことよ。【鑑賞】長い旅路を終えて日本(あるいは一茶の故郷)に到着した雁を歓迎するような、温かく晴れやかな朝の光景です。一茶の深い慈愛の眼差しが感じられます。
雁鳴きて夜寒になりぬる畳かな
与謝蕪村【現代語訳】雁が鳴き渡る声を聞いているうちに、夜の寒さがしんしんと畳にまで染み込んできたかのように感じられることだ。【鑑賞】耳にする雁の声と、肌に感じる畳の冷たさ(夜寒)を巧みに結びつけ、視覚・聴覚・触覚のすべてで秋の深まりを表現した、極めて情緒豊かな一句です。

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