菰の花
autumn 植物

菰の花

こものはな

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意味・由来

「菰の花(こものはな)」は、秋に水辺や沼地などに群生するイネ科の大型多年草「真菰(マコモ)」が咲かせる花のことです。秋のはじめから中秋にかけて、茎の先端に大きな円錐状の花穂を出し、上部に雌花、下部に淡黄褐色から紫褐色の雄花を咲かせます。華やかな色彩の花ではありませんが、水辺の涼風にそよぐ姿や、水面に影を落とす佇まいには、秋ならではの静寂と素朴な風情が漂います。古くから神事や筵(むしろ)の材料としても人々に親しまれてきた植物です。

この季語で詠むコツ

菰の花は遠目には目立たない地味な花であるため、その「控えめな存在感」や「水辺の景色のなかでの佇まい」に焦点を当てるのがポイントです。水面の揺らぎ、水鳥の動き、川風の冷たさ、夕暮れの光といった周囲の環境や時間の移ろいと対比させることで、秋の寂寥感や澄んだ空気を効果的に演出できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水辺の情景(入江、沼、川波、水輪、舟)
  • 光や風の描写(夕日、秋風、雨しずく、ほの暗し)
  • 生き物(鳰、水鳥、鴨、小魚)

菰の花」の俳句例 (3件)

菰の花咲くや水輪のひろごりて
正岡子規【現代語訳】菰の花が静かに咲いている水面に、ぽつりと何かが落ちたのか、水輪が静かに広がっていくことだ。 【鑑賞】静まり返った水辺で、地味ながらも風情ある菰の花と、水面に現れては広がる波紋の動きをとらえた一句です。静と動の対比によって、秋の水辺の静寂と澄み切った空気が鮮やかに伝わってきます。
菰の花水引草の紅を借り
高野素十【現代語訳】色合いの控えめな菰の花が、そばに咲く水引草の鮮やかな赤色を借りて、ほんのり色づいているかのようだ。 【鑑賞】地味な色合いの菰の花と、小さな赤い花をつける水引草を取り合わせた写生句です。水辺の草花同士の色彩の呼応に目を留めた素十らしい繊細な観察眼が光り、控えめな中にも華やぎが感じられます。
菰の花ちりて水面のほのぐらき
飯田蛇笏【現代語訳】菰の花が水面に散り落ちて、水面はいっそう薄暗く沈んだ色合いを見せている。 【鑑賞】散った菰の花粉や小花が浮かぶ水面の、深みのある薄暗さを描いた深沈たる秋の句です。秋の日の傾きとともに深まる水辺の陰影と、季節が深まっていく寂寥感が格調高く表現されています。

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