霧の雫
autumn 天文

霧の雫

きりのしずく

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意味・由来

「霧の雫(きりのしずく)」は、秋の季語です。秋に深く立ち込めた霧が、樹木の葉や草の先、蜘蛛の巣などに結び、それが大きな水滴となってぽつりぽつりと滴り落ちる様子を指します。ただの雨とは異なり、霧という微細な水蒸気が集まって生まれる雫には、独特のしっとりとした静けさと、秋の冷涼な空気感が漂っています。山間部や森の中などで、音もなく世界を濡らす霧が、目に見える「雫」という形になって現れる刹那の美しさを捉えた風情ある季語です。

この季語で詠むコツ

「霧の雫」を詠む際は、視覚的な美しさと共に、「静寂」をどのように表現するかがポイントです。霧が立ち込める薄暗い世界の中で、雫が葉を滑り落ちる様子や、それが地面や落葉に当たる微かな「音」に意識を向けてみましょう。また、雫が光を反射してきらめく一瞬を捉えることで、暗い霧の中に差し込むわずかな光を際立たせることもできます。動的な「滴り」と、静的な「霧の空間」のコントラストを意識することが大切です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 植物・自然:落葉(おちば)、苔(こけ)、杉(すぎ)、桔梗(ききょう)、蜘蛛の巣
  • 状態・五感:しとど、音(おと)、微光(びこう)、静けさ、ひややか、濡れる
  • 場所:山路(やまじ)、木陰(こかげ)、夜の森、古寺(こじ)

霧の雫」の俳句例 (3件)

霧のしづく木々に音ある夜空かな
高浜虚子【現代語訳】霧が木々に雫となって結び、それがぽつりぽつりと音を立てて滴り落ちる、静かな夜空であることよ。【鑑賞】夜の霧が木々の葉を濡らし、しずくとなって落ちる微かな音だけが響く静寂な夜の情景です。目に見えない霧と、耳に聞こえる音を通して、秋の夜の深まりと静けさがしみじみと伝わってきます。
霧のしづくしたたるなかに桔梗咲く
水原秋桜子【現代語訳】霧の雫が滴り落ちるしっとりとした空気の中で、美しい桔梗の花が咲いている。【鑑賞】秋の霧が濡らす庭や野山で、紫色の桔梗が一段と鮮やかに咲いている様子を捉えています。霧の水分を含んだ艶やかな花びらと、したたる雫の対比が清涼感と気品を醸し出しています。
霧のしづくしとしとと降る落葉かな
飯田蛇笏【現代語訳】霧が結んだ雫が、しとしとと静かに降り注ぐ落葉の上に落ちていくことだ。【鑑賞】落ち葉が一面に敷き詰められた地面に、霧の雫が静かに降りかかる様子を描いています。「しとしと」という擬音によって、霧雨のような細かな水分が、秋の終わりの寂寥感とともにしっとりと表現されています。

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