霧の下道
autumn 天文

霧の下道

きりのしたみち

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意味・由来

「霧の下道(きりのしたみち)」は、深く立ち込めた秋の霧の下を通る道、あるいは山道に対して谷沿いや山裾を通る低い道を指す季語です。秋の霧は山腹や高原に濃く漂うことが多く、見上げれば一面の白銀に包まれながらも、足元や歩く道筋だけが霧の下に細く伸びている情景を描き出します。幻想的でありながらも、旅の哀愁や人里の静けさ、秋の深まりを感じさせる趣深い言葉です。

この季語で詠むコツ

霧の「白さ・不透明さ」と、下道の「土の湿り気・足音・影」といった対比を意識すると奥行きが生まれます。視界が遮られているからこそ、水の流れる音、踏みしめる落葉の感触、遠くから響く鈴の音など、聴覚や触覚を刺激する描写を取り入れると、霧の下道の情景が生き生きと浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 音に関する言葉(足音、鈴、せせらぎ、遠声)
  • 色や光に関する言葉(仄暗し、夕影、石の濡れ色)
  • 行動・情景(辿る、暮れゆく、人影、馬、杖)

霧の下道」の俳句例 (3件)

霧の下道水落ちてゐる気配かな
大須賀乙字【現代語訳】霧に覆われた下の道を歩いていると、どこかで水が流れ落ちているようなしっとりとした気配が漂っている。 【鑑賞】見えない水音や冷気から周囲の様子を察する繊細な感覚が際立ちます。霧がもたらす湿潤な大気と静けさが、読者の五感を優しく刺激する一句です。
霧の下道人行く音の聞ゆる
正岡子規【現代語訳】深く立ち込めた霧の下の道を、誰かが歩いていく足音だけがかすかに聞こえてくる。 【鑑賞】視界が霧で閉ざされているため、姿は見えないものの、確かに人が通り過ぎていく気配を「音」によって捉えています。秋の霧の深さと寂寥感が、素朴な写生によって鮮やかに伝わってくる名句です。
霧の下道あらはれいでゝ山暮れぬ
飯田蛇笏【現代語訳】霧が少し晴れて下の道が姿を現したと思ったら、そのままあっという間に山は日暮れを迎えてしまった。 【鑑賞】山の天候の移ろいやすさと秋の日の短さを描いた句です。一瞬だけ姿を現した下道が、すぐに夕闇に溶け込んでいく様子に、自然の雄大さと厳しさが感じられます。

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