衣被ぎ
autumn 生活

衣被ぎ

きぬかつぎ

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意味・由来\n「衣被ぎ(きぬかつぎ)」とは、秋に収穫された里芋の小芋を、皮付きのまま蒸したり茹でたりした料理のことです。皮をむくときに端を少しつまむと、中の白い芋がつるりと滑り出てくる様子が、平安時代の高貴な女性が外出時に顔や頭を隠すために被った「衣被(きぬかずき)」に似ていることからこの名が付きました。中秋の名月(芋名月)のお供え物としても欠かせない、秋の訪れを知らせる素朴で上品な季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n衣被ぎを詠む際には、その「手触り」や「視覚的な白さ」に注目するのがポイントです。つるりと剥ける感触、立ち上る温かい湯気、指先に残る熱さなど、五感を刺激する描写を取り入れると、読者の共感を呼びやすくなります。また、お月見の情景や、家族で囲む食卓、酒の肴としてのリラックスした場面など、背景となる温かなシチュエーションを描き添えるのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・動作・感触を表す言葉:むく、つまむ、すべる、熱し、塩、指先\n・情景や色彩を表す言葉:白し、湯気、月(名月)、夜、箸、器

衣被ぎ」の俳句例 (3件)

衣被むけばいよいよ白かりき
久保田万太郎【現代語訳】衣被ぎの皮をむくと、その中から現れた芋の肌はいっそう白く、美しく輝いて見えたことだ。【鑑賞】皮をむいた瞬間の、瑞々しくつややかな白さを「いよいよ白かりき」とシンプルかつ力強く表現した句です。素朴な食べ物でありながら、そこに宿る清潔感やハッとするような美しさが鮮やかに描かれています。
衣被一つつまんでねぢりけり
正岡子規【現代語訳】衣被ぎを指先で一つつまみ、端をねじるようにしてつるりと皮をむいたことだ。【鑑賞】衣被ぎを食べるときの極めて日常的で写実的な動作を、ありのままに捉えた子規らしい一句です。「ねぢりけり」という具体的な動詞を使うことで、指先の感覚や、芋の柔らかな質感が読者にもリアルに伝わってきます。
衣被月にすかして剥きにけり
渡辺水巴【現代語訳】衣被ぎを、夜空に輝く月明かりにかざすようにして、その皮を剥いたことだ。【鑑賞】中秋の名月(芋名月)の夜の、風雅な一コマを切り取った句です。月の光に透かすようにして剥かれる衣被ぎの白さは、どこか神秘的で美しく、単なる食卓の風景を超えた静謐な情緒を醸し出しています。

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