菊の秋
autumn 時候

菊の秋

きくのあき

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意味・由来

「菊の秋(きくのあき)」とは、菊の花が美しく咲き誇る、晩秋の季節を指す言葉です。単に菊の花そのものを指すだけでなく、菊の気高い香りや端正な美しさが、秋という季節の深まりやその情趣を代表しているかのような、豊かな響きを持っています。古来、菊は不老長寿の薬草としても珍重され、重陽の節句(旧暦9月9日)とも深く結びついており、どこか厳かで清々しい秋の気配を象徴する季語として愛されてきました。

この季語で詠むコツ

「菊の秋」を詠む際は、菊の具体的な色彩や形を細かく描写するよりも、その花が醸し出す「空間全体の雰囲気」や「季節の深まり」に目を向けるのがコツです。菊の放つ独特の清らかな香り、静かな庭園に差し込む柔らかな光、冷涼な空気感など、五感を通じて感じられる「秋の完成された美しさ」を意識して詠み込んでみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 日差しや光を表す言葉(「日和」「うららか」「夕日」「日影」など)
  • 静けさや歳月の経過を感じさせる言葉(「古寺」「庭」「佇む」「面影」など)
  • 嗅覚や心地よい冷涼感を表す言葉(「香り」「風」「冷やか」など)

菊の秋」の俳句例 (3件)

菊の秋ふたたび見ばや老いの友
野沢凡兆【現代語訳】菊の花が美しく咲き誇るこの素晴らしい秋を、ぜひもう一度、年老いた友と一緒に迎えて眺めたいものだ。【鑑賞】菊は長寿の象徴でもあります。深まりゆく秋の中で、しばらく会っていない、あるいは共に年を重ねた大切な友人を思い出し、共に無事でまたこの美しい季節を迎えられたことを喜び合いたいという、温かい友情と無病息災への願いが込められた名句です。
菊の秋こころにうかぶ人もあり
浪化【現代語訳】菊の花が咲き薫るこの深まりゆく秋の日に、ふと心に思い浮かぶ懐かしい人がいるものだ。【鑑賞】静寂の中に菊の香りが漂う秋の一日に、ふと大切な誰かの面影が脳裏に浮かぶ様子を素朴に、かつしみじみと詠み上げています。「菊の秋」という季語が持つ、静かで少し寂しげな情趣が、追憶の甘美さをいっそう引き立てています。
菊の秋日を迎へては志るきかな
荷兮【現代語訳】菊が満開を迎えたこの秋の日、差し込む太陽の光を浴びて、その美しさが一段とはっきりと際立っていることよ。【鑑賞】「志るき(著き)」は、際立って明白であるという意味です。晩秋の澄み切った日差しを浴びて、凛と咲く菊の姿がよりいっそう鮮やかに、気高く輝いている瞬間を見事に捉えた、光に満ちた写実的な名句です。

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