菊人形
autumn 植物

菊人形

きくにんぎょう

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意味・由来 菊人形(きくにんぎょう)は秋の季語で、衣装の部分を色とりどりの菊の花や葉で装飾した人形のことです。頭部や手足には木彫りや衣装人形を用い、胴体に菊を丹念に植え込んで仕立てます。江戸時代後期の江戸(現在の染井や巣鴨周辺)で始まったとされ、明治から大正、昭和にかけて歌舞伎の名場面や歴史上の人物を模した大型興行として各地で大人気となりました。華やかでありながら、菊の儚さや人形独特の静けさを併せ持つ点が大きな魅力です。 ### この季語で詠むコツ 菊人形を詠む際は、菊の花の華やかさや香りだけでなく、「人工的な造形美」と「生きた植物」という相反する二面性に着目するのがコツです。精巧につくられた人形の首(かしら)や視線、着物の重厚感、作業する職人の息遣い、あるいは閉園後の静寂など、視点を細部に絞ることで菊人形の持つ独特の怪しさや情趣を引き出すことができます。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 【人形の部位・表現】首、かしら、まなざし、指先、衣装、面影 【会場・興行】小屋、芝居、看板、灯り、人ごみ、職人 【感覚・五感】菊の匂い、夕風、冷たさ、陰り、散る

菊人形」の俳句例 (3件)

菊人形首打落す間ありけり
山口誓子【現代語訳】菊人形の首を職人が取り外して付け替える、その一瞬の隙間があったことだ。【鑑賞】製作中や仕掛けの付け替え時、菊人形から首が外された一瞬のドラマを捉えた句です。生きているような人形から首が失われる不気味さと、職人の冷徹な手際が見事に描写されています。
菊人形首なき胴の立ち居かな
水原秋桜子【現代語訳】菊人形の、まだ首が付けられていない胴体部分が、まるで本当に立ったり座ったりしているかのようであるよ。【鑑賞】首を取り付ける前の胴体だけの菊人形を観察した句です。菊花で埋め尽くされた豊かな衣装の胴体だけが佇む姿に、かえって生き生きとした生命感や怪しい存在感を見出しています。
菊人形かほばかりなる夜の闇
長谷川素逝【現代語訳】夜の暗闇のなか、菊人形の衣装の菊は闇に溶け込み、白い顔だけがぽっかりと浮かび上がっている。【鑑賞】昼間の賑やかさが去った夜の展示場で、暗がりの中に白く浮き出る人形の顔に着目した句です。昼の華やかさとは対比的な、静まり返った夜の闇と人形の妖しい存在感が印象深く表現されています。

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