萱葺く
autumn 生活

萱葺く

かやふく

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意味・由来

「萱葺く(かやふく)」とは、ススキやチガヤなどの「萱(茅)」を使って、民家や庵の屋根を葺き替える、または新しく葺く作業を指す秋の季語です。秋は収穫を終えて萱が十分に乾燥し、天候も安定する時期であるため、伝統的にこの季節に屋根の葺き替えが行われてきました。人々の共同作業によって行われることも多く、山里の生活感や季節の移り変わりを強く感じさせる言葉です。

この季語で詠むコツ

屋根の上で働く人々の活気や、新しく葺かれた萱の清々しい黄金色の美しさに注目すると、生き生きとした句になります。一方で、葺き替えを待つ古い萱の侘び寂びや、作業の背景にある山里の静けさに焦点を当てるのも効果的です。五感(特に萱の匂いやハサミの音、風の感触など)を意識して詠み込んでみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山里、軒端、集落、煙などの「里山の風景を表す言葉」 ・秋風、夕日、日の光、青空などの「秋の自然や光を表す言葉」 ・木槌、縄、梯子などの「作業を連想させる即物的な言葉」

萱葺く」の俳句例 (3件)

萱葺いて一山秋のひかりかな
飯田蛇笏【現代語訳】古い屋根を新しく萱で葺き替えた。すると、その真新しい黄金色の屋根が輝き、山全体がすっかり秋の豊かな光に満ちあふれているかのように感じられることだ。【鑑賞】新しく葺き替えられた萱葺き屋根のまばゆい色彩が、山全体の秋の光景を一層引き立てている様子を、ダイナミックに詠み上げています。「一山秋のひかり」という表現が、スケールの大きさと清々しい秋晴れの空気を巧みに表現しています。
萱葺くやその萱原の夕日影
正岡子規【現代語訳】萱葺きの屋根を葺いているが、そのすぐ近くにある、材料を刈り取ったあとの萱原に、寂しげな秋の夕日が美しく差し込んでいることよ。【鑑賞】作業が行われているまさにその場所のすぐ隣に広がる萱原と、そこに注ぐ秋の夕日のコントラストを写実的に捉えた句です。新しく葺かれる屋根の生命感と、刈り取られた後の萱原の静けさ、そして夕暮れの哀愁が一体となって、秋の深まりを感じさせます。
萱葺くや親に似て行くわらぢ尻
小林一茶【現代語訳】屋根の萱を葺いているその作業姿を見ていると、親と同じように、わらじの踵をすり減らしながら懸命に働くその子自身の姿が、どこか親に似てきているなあ。【鑑賞】萱葺きという重労働に勤しむ職人の足元(わらじ)に着目し、代々受け継がれる労働の営みと、親子の血のつながりや人生の哀歓を温かく見つめた一茶らしい句です。技術と生活が親から子へと受け継がれていく様子が、写実的かつ人情味豊かに描かれています。

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