蛙穴に入る
autumn 動物

蛙穴に入る

かわずあなにいる

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意味・由来\n「蛙穴に入る(かわずあなにいる)」は、晩秋(10月頃)の季語です。夏の間、活発に活動し、賑やかに鳴いていた蛙たちが、冬の厳しい寒さに備えて地中や泥の中の穴に潜り、冬眠に入る様子を表しています。この季語は、単に生物の生態を示すだけでなく、周囲から生き物の気配が消え、自然界全体が静寂に包まれていく、冬の到来への過渡期としての季節の寂しさを象徴しています。\n\n### この季語で詠むコツ\n蛙の姿が直接見えなくなる時期だからこそ、「不在の気配」や「残された静けさ」を意識して詠むのがコツです。蛙たちが去った後の庭、畑、水たまり、あるいは池の様子を描くことで、間接的に蛙が穴に入った寂しさを浮かび上がらせることができます。また、冷たい風や薄い日差しといった、晩秋の空気感を同時に描写することで、冬支度をする自然の冷涼な美しさを引き出すことができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 静寂や光の変化を表す言葉(夕日、暮るる、影薄し、ひそか、静まり返る)\n- 乾いた大地や無機質な自然(池の石、泥、畑の土、枯れ葉、庭の隅)\n- 冬の足音を感じさせる表現(うすら寒、冷たき風、時雨)

蛙穴に入る」の俳句例 (3件)

蛙穴に入るや夕日影薄し
村上鬼城【現代語訳】蛙が冬眠のために穴に入る頃となり、地表を照らす夕日の光もすっかり薄く、弱々しく感じられることだ。【鑑賞】晩秋の寂寥感漂う光景を見事に捉えた一句。蛙が土の中に姿を消すという自然の営みに合わせるように、一日の終わりを告げる夕日もその輝きを失っていく、静かで哀愁に満ちた季節の移り変わりが表現されています。
蛙穴に入りてひそまる小庭かな
水原秋桜子【現代語訳】蛙が土の穴に入って冬眠に入り、小さな庭がいっそうひっそりと静まり返っていることだ。【鑑賞】身近な家庭の庭を舞台に、蛙の冬ごもりによって訪れる静寂を描いています。「ひそまる」という表現が、ただ静かなだけでなく、生き物たちが息を潜めて冬を越そうとする温もりと緊張感を絶妙に伝えています。
蛙穴に入るや動かぬ池の石
飯田蛇笏【現代語訳】蛙たちが皆、冬眠のために穴に入ってしまったのだろうか、池のほとりの石がただ静かに、微動だにせず佇んでいる。【鑑賞】蛙の気配が消え去った池畔の静寂を、「動かぬ池の石」という即物的な描写によって際立たせています。冷え冷えとした空気感と、生命の活動が停止していく冬間近の自然の沈黙が伝わってきます。

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