川施餓鬼
autumn 地理

川施餓鬼

かわせがき

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意味・由来\n「川施餓鬼(かわせがき)」は、秋(初秋)の季語です。水難事故で亡くなった人々や、溺死した無縁仏の魂を慰めるために、川辺や船の上で行われる仏教の供養行事(施餓鬼会)を指します。お盆の時期に行われることが多く、川に灯籠(とうろう)を流したり、卒塔婆(そとば)を立てて僧侶が読経したりします。水底に沈む霊を弔うという、どこか寂しくも慈悲深い、日本の夏の終わりから秋の初めにかけての情感をたたえた行事です。\n\n### この季語で詠むコツ\n川施餓鬼は、水の動き、音、光、そして闇が交差する劇的な情景を含んでいます。詠む際には、単に行事の様子を説明するのではなく、五感に響くディテールに注目しましょう。例えば、川面を渡る風の冷たさ、夜闇に揺れる灯火の赤さ、僧侶の読経や鐘の音、川波の音などを具体的に写生することで、哀悼の念と自然の静けさが重なり合う深い余韻を持った句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n* 動き・光:ともし火、流るる、揺るる、またたく、川明かり\n* 宗教的・儀礼的:読経、卒塔婆(そとば)、舟、数珠、和讃\n* 自然・背景:夕闇、川風、水底(みなそこ)、川波、秋の暮

川施餓鬼」の俳句例 (3件)

川施餓鬼ともし火流す一すぢに
高浜虚子【現代語訳】川施餓鬼の儀式において、灯籠の火をただ一筋の美しい列をなすように川へと流していく。\n【鑑賞】暗い川面に一条の光の帯となって流れていく灯籠の明かりを主役に据えた、極めて絵画的で厳かな句です。「一すぢに」という表現に、一切の雑念を払って死者を送り出す人々の真摯な祈りが込められています。
川施餓鬼舟にこぼるる卒塔婆かな
阿波野青畝【現代語訳】川施餓鬼が行われている舟の上に、こぼれんばかりに多くの卒塔婆が積まれていることよ。\n【鑑賞】舟の上に無造作に、しかし数多く積まれた卒塔婆の様子から、水難者を悼む人々の祈りの切実さと多さが伝わります。川の揺れと共にある舟の存在感が、視覚的に鮮明に描き出された名句です。
川施餓鬼夕波あらくおこりけり
芝不器男【現代語訳】川施餓鬼が執り行われている中、夕方の川波がにわかに荒々しく立ち騒ぎ始めたことだ。\n【鑑賞】静かな祈りの儀式とは対照的に、突如として荒々しく揺れる川波の動きを捉えています。かつて水に消えた命を慰めつつも、水という自然への畏怖を感じさせる劇的な一瞬を切り取っています。

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