川海苔
autumn 地理

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意味・由来

「川海苔(かわのり)」は、山間の清流や水の澄んだ川の岩石に付着して自生する淡水藻(緑藻類)のことです。特に秋から冬にかけての、水が冷たく澄み渡る季節に採取され、食用として重宝されてきました。独特の豊かな磯の香りに似た清々しい香りがあり、乾燥させて板海苔にしたり、佃煮や吸い物の具として楽しまれます。水質が非常に綺麗な場所でしか育たないため、清らかな自然の象徴でもあり、歳時記では秋の季語として分類されています。

この季語で詠むコツ

川海苔を詠む際は、その背景にある「水の清らかさ」や「冷たさ」、そして「山間の静寂」を意識することが大切です。単に食材としての川海苔を描くだけでなく、それが育つ川のせせらぎの音、岩肌を流れる水のきらめき、あるいは冷たい水に手を浸して川海苔を採ったり洗ったりする人々の営みなど、五感(視覚・聴覚・触覚・味覚)を刺激する描写を取り入れると、ぐっと臨場感が増します。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水に関する言葉:清流、岩清水、急流、瀬、水音
  • 触覚・色に関する言葉:冷たし、手の白さ、岩肌、緑、透き通る
  • 人の営みに関する言葉:干す、洗う、笊(ざる)、山里、日和

川海苔」の俳句例 (3件)

川のりを洗ふや水に手の白さ
杉田久女【現代語訳】冷たい川の水で川海苔を洗っていると、その清らかな水の中に浸された自分の手の白さが、いっそう際立って美しく見えることだ。【鑑賞】川海苔の深い緑と、流れる水の透明感、そしてその中に置かれた女性の白い手のコントラストが実に見事です。生活のたくましさと美意識が融合した名句です。
川海苔を干して淋しき日和かな
渡辺水巴【現代語訳】採ってきた川海苔を日に干しているが、その静かで穏やかな秋の陽射しの中に、どこか寂しげな風情が漂う一日であることよ。【鑑賞】山里の静寂と、秋の日のうら寂しさを川海苔を干すというささやかな光景から描き出しています。静かに乾いていく川海苔に、移ろいゆく季節の寂寥感が重ね合わされています。
川海苔や水より生るる水の色
阿波野青畝【現代語訳】清らかな水の中で育つ川海苔を見ていると、まるで水そのものから、その鮮やかな水の色が生まれてきているかのように感じられる。【鑑賞】清流の美しさと川海苔の緑が一体となった、極めて純度の高い写生句です。水の中から生まれる水の色という、詩的で深い観察眼が光ります。

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