かたみ草
autumn 植物

かたみ草

かたみぐさ

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意味・由来

「かたみ草(形見草)」とは、亡き人を偲ぶよすが(手がかり)となる草や、故人が生前に愛した草花、あるいは見るたびに昔の思い出が蘇るような植物を指す言葉です。特定の品種のみを指すのではなく、古来より人々の惜別の情や哀傷を託す言葉として大切にされてきました。秋の寂寥感漂う風情のなかで、今は亡き大切な人へと思いを馳せるための、非常に情緒深い季語です。

この季語で詠むコツ

「かたみ草」を詠む際は、その草が単なる自然の植物ではなく、「特定の誰かの面影」を宿しているというドラマ性を意識することが大切です。草の色彩や形を細かく写生するよりも、吹く風の冷たさや光の陰りなど、周囲の静かな環境と重ね合わせることで、胸に秘めた切なさや懐かしさをより深く表現することができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 自然・気象: 「秋風」「夕露」「雨」「薄日」「土」
  • 心情・状態: 「面影」「古びたる」「忘られぬ」「静けさ」「手向ける」
  • 動作: 「植える」「揺れる」「なびく」「見入る」

かたみ草」の俳句例 (3件)

淋しさのそこに咲きけり形見草
加賀千代女【現代語訳】寂しさが極まったその場所に、ぽつりと形見草がひっそりと咲いている。【鑑賞】自身の胸の内にある「淋しさ」が、目の前の空間に「かたみ草」という具体的な形となって現れたかのような表現です。主客合一の境地から生まれた、静かで哀切極まる名句です。
かたみ草植ゑおく庭の秋の風
山本荷兮【現代語訳】亡き人を偲ぶ形見草を植えておいた庭に、寂しい秋の風が吹き抜けていく。【鑑賞】芭蕉の弟子であり「芭蕉十哲」の一人である荷兮の一句。形見として大切に育てている庭の草と、それを寂しく揺らす秋風の取り合わせが、哀愁に満ちた心象風景を美しく描き出しています。
母のなき家にも咲くやかたみ草
小林一茶【現代語訳】母が亡くなってしまったこの実家にも、変わらず形見草が健気に咲いていることよ。【鑑賞】幼少期に実母を亡くした一茶が、母の面影を残す生家で詠んだとされる一句です。主を失った寂しい家と、毎年変わらずに花を咲かせる形見草のコントラストが、一茶の心に去来する亡き母への深い慕情を鮮やかに引き立てています。

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