雁の玉章
autumn 動物

雁の玉章

かりのたまずさ

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意味・由来\n「雁の玉章(かりのたまずさ)」とは、秋に北の国から渡ってくる雁の列を、遠い地から届く手紙(玉章)に見立てた、非常に優美でロマンチックな秋の季語です。古代中国の「漢書」にある蘇武の故事(雁の足に手紙を結びつけて安否を伝えたとされる伝説)に由来し、古来より雁は「便りを届ける使者」として親しまれてきました。秋の訪れを知らせる風物詩であると同時に、遠方の親しい人や恋人を思う象徴的な言葉です。\n\n### この季語で詠むコツ\n雁の美しい飛行の軌跡という「視覚的要素」と、手紙が運ぶ「情緒や想い」をいかに結びつけるかがポイントです。単に空の鳥を描くだけでなく、自分の胸の内にある懐かしさ、誰かを待つ心、あるいは季節が移り変わる寂しさなどを重ね合わせることで、一句に深い物語性と余韻が生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・空や夜の情景(月夜、夕焼け、秋風、茜空、夜寒、雲)\n・心象や動作(待つ、届く、消えゆく、はるか、千代)\n・手紙を連想させるもの(文箱、墨の香、封、筆)

雁の玉章」の俳句例 (3件)

雁の玉章持て行く風の行方かな
加賀千代女【現代語訳】空を行く雁たちが運んでいる手紙を、さらに先へと送るように吹く秋風は、一体どこへ向かっていくのだろうか。【鑑賞】雁が風に乗って旅路を急ぐ様子を、大切な手紙を運ぶ使者として捉えています。風の吹く先、そして雁たちが目指す遠い地への憧れや旅愁が、美しく広がりのあるスケール感で描かれています。
雁の玉づさ書きのこしたるごとくにも
久保田万太郎【現代語訳】空を横切っていく雁の群れの列が、まるで青空の余白に一筋のメッセージを書き残していったかのようであるな。【鑑賞】雁の飛行ルートが、空に描かれた美しい筆跡のように見えた一瞬を捉えています。雁が飛び去ったあとも、心の中にその「手紙」の余韻が残り続けるような、万太郎らしい極めて繊細で詩的な情緒に満ちた一句です。
雁の玉章の落ちて来さうな月夜かな
正岡子規【現代語訳】美しく澄み切った秋の月夜に、空を渡っていく雁の列を見上げていると、まるで天から手紙がひらひらと落ちてきそうに見えることよ。【鑑賞】明るい月が照らす秋の夜空を、列をなして飛ぶ雁を「手紙(玉章)」に例えた、子規のロマンチックな空想が光る名句です。秋の澄んだ空気感と、静かな夜のときめきが見事に表現されています。

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