榠樝の実
autumn 植物

榠樝の実

かりんのみ

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意味・由来

「榠樝の実(かりんのみ)」は、バラ科の落葉高木であるカリンが秋に結ぶ果実を指す季語です。秋が深まるにつれて楕円形の大きな実が鮮やかな黄色に熟していきます。この実は非常に硬く、渋みがあるため生食には適しませんが、極めて芳醇で甘い香りを放つのが特徴です。古くから果実酒やのどの薬(のど飴など)として親しまれ、庭木としてもよく植えられています。

この季語で詠むコツ

榠樝の実を詠む際は、その「硬さ」「重さ」「独特の強い香り」、そして「鮮やかな黄色の色彩」といった五感に訴えかける特徴を捉えるのがコツです。木にたわわに実っている様子だけでなく、地面に落ちた時の「ごとり」という重々しい音や、部屋に置いた実から漂う豊かな香りなど、生活の身近な場面と取り合わせることで詩情が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・触覚や嗅覚を想起させる言葉:重し(おもし)、硬し(かたし)、匂ふ(におう)、香(かおり) ・日常の動作や静物:机の上、棚、拾ふ、落つる ・季節の情景:雨、庭、乾きし土

榠樝の実」の俳句例 (3件)

榠樝の実落ちてひびきぬ土の上
詠み人知らず【現代語訳】カリンの実が木から落ちて、乾いた土の上でゴトッと大きな音を響かせた。 【鑑賞】カリンの実は大きく非常に硬いため、落ちた時の音には強い存在感があります。「ひびきぬ」という表現が、秋の庭の静けさと実の重さを対比させて見事に描き出しています。
榠樝の実こぼれて久し雨のなか
飯田蛇笏【現代語訳】木からこぼれ落ちたカリンの実が、冷たい雨の中に長い間そのまま取り残されている。 【鑑賞】落ちた実が濡れながら佇む様子から、寂寥感漂う晩秋の光景が浮かびます。静かに降り続く雨の中で、黄色い実が放つかすかな光と香りが、寂しさの中に温かみを感じさせます。
榠樝の実一つ得て置きぬ机の上
清崎敏郎【現代語訳】カリンの実を一つ手に入れて、自分の机の上に置いておいた。 【鑑賞】ただ実を置いたという極めてシンプルな動作を詠んでいますが、それによって書斎にカリンの芳醇な香りが満ちていく様子が想像されます。静かな時間と贅沢な秋の趣を感じさせる名句です。

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