枯野の露
autumn 天文

枯野の露

かれののつゆ

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意味・由来

「枯野の露(かれののつゆ)」は、草木が枯れ果てた寂しい野原(枯野)に降りる露を指す季語です。一般的に「露」は秋の季語であり、きらびやかで瑞々しい生命力を感じさせるものですが、「枯野の露」は秋の終わりから冬にかけての、生命の衰退と隣り合わせの露を意味します。かつて万葉の時代から、露は「はかない命」の象徴とされてきましたが、枯野という死を予感させる背景が加わることで、そのはかなさと一瞬の美しさがより一層強調されます。ただ冷たいだけでなく、無常観や哀愁、そして静寂の中で際立つ一筋の光を感じさせる深みのある季語です。

この季語で詠むコツ

「枯野の露」を詠む際は、背景となる「枯野」の荒涼とした広がりと、そこに置かれた「露」という小さな一滴のコントラスト(対比)を意識することが大切です。広い空間から極小の視点へとフォーカスを絞ることで、景色の静けさが際立ちます。また、露が朝日にきらめく瞬間や、冷たい風に揺れる様子など、動的な一瞬を捉えるのも効果的です。単なる寂しさだけでなく、その中に見出す「命の輝き」や「冷たさの美感」を描写すると、初心者の句から一歩抜け出した味わい深い作品になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 光・色彩を表す言葉: 「きらめき」「かすか」「一筋」「朝影」など、暗い枯野に対して、露の光を際立たせる言葉。
  • 冷たさ・触覚を表す言葉: 「冷たし」「風の音」「朝風」「凍つ」など、晩秋から初冬へ向かう冷涼な空気感を伝える言葉。
  • 時間の経過や変化: 「朝日」「消えゆく」「またたく間」など、はかない時間の流れを意識させる言葉。

枯野の露」の俳句例 (3件)

身にしむや枯野の露の草の茎
与謝蕪村【現代語訳】なんと身に染みて寒々と感じられることか。枯れ果てた野原に残る草の茎に、はかなく置いている露を見ていると。【鑑賞】蕪村の代表的な秋・冬の句。「身にしむ」という季語と「枯野の露」を組み合わせ、衰退していく自然の寂しさと冷気、そして人間の孤独感を、草の茎に残る露というミクロな視点から見事に描き出しています。
枯野の露命にかはるひかりかな
加賀千代女【現代語訳】枯れ果てた野原に降りた露が、まるでそのはかない命と引き換えに輝いているかのような、尊い光を放っていることよ。【鑑賞】草木が枯れて命の気配が失われた枯野において、一瞬だけきらめく露の光に、強烈な命の輝きを見出した句です。死と生の対比が、静かに、しかし力強く表現されています。
枯野の露や消え残るもの一つづつ
正岡子規【現代語訳】枯野に降りた露が、朝日を浴びて、一つ、また一つとはかなく消え去っていく。その消え残る一粒一粒の光が愛おしい。【鑑賞】病床にあった子規が、自身の命のはかなさを枯野の露に投影したかのような趣のある句です。消えゆくものへの温かい視線と、写生に基づいた静謐な光景が心に響きます。

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