駆鶉
autumn 生活

駆鶉

かけうずら

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意味・由来

「駆鶉(かけうずら)」は、秋の季語である「鶉(うずら)」の傍題(関連する季語)の一つです。秋の野原において、草むらの間に身を隠しながら、せわしなく、かつ俊敏に走り回る鶉の習性を捉えた動的な季語です。鶉は本来、警戒心が強く人目を避ける鳥ですが、猟犬などに追われたり、あるいは自ら餌を求めて草むらを走ったりします。その際、姿は見えなくとも草の葉がサササと不自然に揺れ動く様子などから、その存在が知られます。ただ寂しく鳴く鶉の声だけでなく、野生の小さな生命が必死に駆ける緊迫感や、そこから漂う哀愁がこの季語の魅力です。

この季語で詠むコツ

「駆鶉」を詠む際は、鳥そのものの姿を直接描くよりも、「姿は見えないが、確かにそこに気配がある」という間接的な描写を意識するのがコツです。例えば、草の揺れ、かすかな足音、乾いた土の匂いなど、五感を研ぎ澄ませてその動きを表現します。また、秋の終わりの寂しい枯野や広大な武蔵野といった「静」の空間の中に、駆鶉という小さく素早い「動」を置くことで、秋の深まりや孤独感をより一層際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 地形・自然:武蔵野、草の波、枯野、尾花、夕日、夕影
  • 動作・状態:走る、隠れる、乱れる、かすめる、にわかに、逃げる
  • 感覚・描写:羽音、ササと(草の音)、微かな足音、乾く、風の音

駆鶉」の俳句例 (3件)

駆鶉の草を離るる羽音かな
正岡子規【現代語訳】草むらをせわしなく駆け回っていた鶉が、追いつめられたのか、あるいは驚いたのか、不意に草を蹴って飛び立っていった。その瞬間の、バタバタという鋭い羽音が耳に残ることよ。【鑑賞】草の中を走る鶉(駆鶉)が、ついに堪えきれずに飛び立つダイナミックな瞬間を「羽音」という聴覚的な要素で捉えた句です。静寂な秋の野に響く羽音が、一瞬の緊張感を生み出しています。
駆鶉や草のうねりの走り行く
高浜虚子【現代語訳】草むらの中を鶉が勢いよく駆け抜けていく。その小さな姿は見えないが、草の葉がうねるように波打って走っていくことで、その通り道がはっきりとわかることよ。【鑑賞】虚子の「客観写生」の真髄を示す名句です。あえて鶉本体を描かず、揺れ動く「草のうねり」という視覚的変化だけで、鶉の驚くべき俊敏さと野生の生命力を表現しています。
駆鶉に日はあきらかに武蔵野ぞ
水原秋桜子【現代語訳】草むらを鶉がせわしなく駆けていく。その頭上には、秋の澄み渡る陽光が武蔵野の広大な原野を包み込むように、あからさまなまでに明るく降り注いでいる。【鑑賞】広大な武蔵野という空間と、そこを小さく駆ける鶉の対比が鮮やかです。秋桜子らしい清澄な叙情性と色彩感覚に溢れ、明るい陽光が寂しげな野生の動きをかえって際立たせています。

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