掛索麵
autumn 生活

掛索麵

かけそうめん

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意味・由来

「掛索麵(かけそうめん)」は、陰暦七月七日の七夕の行事において、神仏や先祖の霊に供えるために吊るし掛けた索麺(そうめん)のことです。古来、そうめんは天の川のきらめきや、織姫が紡ぐ「織り糸」に見立てられ、無病息災や裁縫・芸事の上達を願うために供えられてきました。初秋の涼やかな風が通り抜ける仏壇や床の間に、白く細い糸のような索麺がひっそりと揺れる様子は、どこか厳かで、儚げな美しさを湛えています。

この季語で詠むコツ

食べ物としての「冷し素麺(夏の季語)」とは異なり、あくまで神仏に捧げる「供え物・飾り物」としての性格を意識して詠むのがコツです。吊るされている索麺の白さや細さ、静かに揺れる佇まい、そして七夕や先祖への祈りといった「時間的な背景」や「空間の静寂」を言葉に落とし込むことで、深い情緒が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空間や光を表す言葉:「仏(ほとけ)」「灯火(ともしび)」「陰(かげ)」「床の間」「風の道」
  • 索麺の質感や動き:「白し」「細し」「ゆらぐ」「糸の如し」
  • 季節感や心情:「夕暮れ」「七夕」「寂し」「静けさ」

掛索麵」の俳句例 (3件)

懸索麺仏ののどや細からん
与謝蕪村【現代語訳】お供えとして掛けられている索麺を見ていると、これを召し上がる仏様の喉も、この索麺のようにさぞかし細いのだろうと思われる。【鑑賞】蕪村ならではのユーモアと、絵画的な繊細さが融合した傑作です。白く極細の索麺から「仏様の喉」という意外なビジュアルへと発想を繋げることで、どこか親しみやすく、かつ張り詰めたような静けさを演出しています。
懸索麺仏のうしろ淋しけれ
炭太祇【現代語訳】仏壇に掛けられた索麺。その白い糸の向こうにある、仏像の背後の暗がりには、なんとも言えない寂しさが漂っている。【鑑賞】蕪村の盟友でもある太祇による、生活感と寂寥感が同居した一句。白く揺れる掛索麺の対比として、仏壇の奥にある「影」や「暗闇」に視線を向けることで、秋の訪れがもたらす一抹の寂しさを象徴的に描き出しています。
懸索麺それも昔のしるしかな
松尾芭蕉【現代語訳】仏前に掛けられた索麺を見ると、それもまた昔から伝わる七夕の行事を今に伝える、懐かしい証拠なのだなあ。【鑑賞】貞享5年(1688年)の作とされる句です。古くから守られてきたささやかな風習の中に、歴史の重みと季節の移ろいを感じ取り、しみじみとした旅情や哀愁を漂わせています。

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