梶の七葉
autumn 植物

梶の七葉

かじのななは

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意味・由来

「梶の七葉(かじのななは)」は、クワ科の落葉高木であるカジノキ(梶の木)の葉を指す季語で、特に初秋の七夕の時期に用いられます。梶の葉は大きく、手のひらのように数裂(多くは3〜7裂)する特徴があります。 古来、七夕の夜には、この梶の葉に和歌や願い事を書き、水に浮かべたり、神仏に手向けたりして星に祈る宮廷行事(乞巧奠・きっこうでん)がありました。特に「七葉(ななは)」と呼ばれる7つに裂けた葉は、七夕の「七」に通じることから、非常に神聖で縁起の良いものとして珍重されました。

この季語で詠むコツ

「梶の七葉」を句に詠む際は、単なる植物の描写にとどまらず、伝統的な「書くこと(筆、墨、水)」との結びつきや、七夕の静かでロマンチックな雰囲気を意識すると良いでしょう。葉のザラザラとした質感や、そこに溜まる冷たい夜露など、五感に訴えかける描写を交えると、古風でありながら新鮮な印象を与えることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 筆・墨・書・文(ふみ)(書くことに関する言葉)
  • 露・水・天の川・夜風七夕の夜の自然を表す言葉)
  • 手向ける・祈り・願ひ(信仰や願い事に関する言葉)

梶の七葉」の俳句例 (3件)

梶の葉に書くや我が名の不調法
松尾芭蕉【現代語訳】七夕の願い事を書く梶の葉に、芸事や文字が不調法(下手)な私の名前をそのまま書き記すことよ、なんと決まりが悪いことだろう。 【鑑賞】芭蕉が自らの書や風流さを謙遜しつつ、七夕の雅びな習慣を楽しんでいる様子が伝わる句です。美しく整った梶の葉と、自らの「不調法」という人間味あふれる滑稽さの対比が、古典的な情緒の中にユーモアを漂わせています。
梶の葉やたむけし水のひえごころ
向井去来【現代語訳】七夕の神仏に手向けるために、梶の葉を浮かべたその水の、なんと冷ややかで清らかな心地(あるいは手触り)であることよ。 【鑑賞】去来の繊細な感覚が際立つ一句です。「ひえごころ」という言葉によって、手向けた水の冷たさだけでなく、それを行う人間側の澄み切った敬虔な心までもが表現されています。梶の葉のみずみずしさと、秋の訪れを感じさせる水の冷涼感が一体となっています。
梶の葉に心うつるか夜の風
加賀千代女【現代語訳】梶の葉に書き留めた私の切ない思いが、夜風に吹かれてどこかへ移り去ってしまうのだろうか、それとも風そのものに心が乗っていくのだろうか。 【鑑賞】千代女らしい、情緒豊かで繊細な恋心や祈りを詠んだ句です。七夕の願いを託した梶の葉が、夜の静かな風にそよそよと揺れる様子を見つめながら、自分の心が風にさらわれて天へと届くような、あるいは消えてしまうような、揺れ動く心情を美しく捉えています。

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