梶葉売
autumn 植物

梶葉売

かじのはうり

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意味・由来

「梶葉売(かじのはうり)」は、陰暦七夕(現在の8月頃)の前日に、七夕の願い事を書くための梶(かじ)の葉を売り歩いた物売りのことです。古来、日本では七夕の夜に梶の葉の裏に歌や願い事を書き、墨ののりを良くするために天の川の水に見立てた露で墨を引いたとされています。江戸時代には、この行事のために梶の葉を束ねて街中で売り歩く光景が、秋の訪れを告げる風物詩となっていました。

この季語で詠むコツ

「梶葉売」を詠む際は、単に物売りを描写するだけでなく、七夕というロマンチックな星祭りの予感や、江戸の庶民生活の哀愁、夕暮れ時の情緒などを重ね合わせると効果的です。「声」に着目して、夕暮れから夜にかけて響く物売りの声を聴覚的に捉えるのも、この季語の持つ儚さを引き出す良いアプローチです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間や光:夕暮れ、夜、ともし火、月影、宵闇
  • 生活や情景:門口、路地、風、団扇(うちわ)、水音
  • 心情や感覚:哀れ、ゆかし、懐かし、涼し

梶葉売」の俳句例 (3件)

梶葉売る高野の僧のやどりかな
与謝蕪村【現代語訳】七夕の梶の葉を売り歩く者が、高野山の旅僧の宿へと立ち寄っていることよ。【鑑賞】宗教的な修行者である高野聖と、七夕という習俗に用いる梶の葉を売る者との出会いが、宿という限られた空間の中で詩的に交差しています。世俗と精神世界が交錯する、蕪村ならではの絵画的で奥深い一瞬を切り取った名句です。
梶葉売る子のうしろより鳴く蚊かな
小林一茶【現代語訳】梶の葉を売り歩く小さな子供の後ろから、蚊がぷうんと鳴きながらついていっていることよ。【鑑賞】七夕の梶の葉を一生懸命に売っている子供の健気さと、その幼い体を目がけて追う蚊の存在が、一茶らしい温かくも哀切な眼差しで描かれています。庶民のささやかな暮らしのワンシーンが鮮やかに浮かびます。
梶葉売る声や夜に入つてなほ哀れ
加舎白雄【現代語訳】七夕の梶の葉を売る声が、夜になっても聞こえてきて、ますます哀愁を帯びて感じられることだ。【鑑賞】江戸時代の夜の闇に響く「梶葉売」の声は、七夕前夜の静けさと相まって、人々の心にしみじみとした情緒を呼び起こします。時間の経過とともに深まる哀愁を「夜に入りてなお哀れ」と美しく表現しています。

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