地芝居

地芝居

じしばい

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意味・由来\n「地芝居(じしばい)」は、秋の収穫祭や神社の祭礼などの際に、地域の人々(素人)自らが役者や裏方を務めて上演する伝統的な芝居(主に歌舞伎や人形浄瑠璃)を指す秋の季語です。「村芝居(むらしばい)」や「素人芝居」とも呼ばれます。プロの巡業とは異なり、知った顔が舞台上で熱演する親しみやすさや、農作業を終えた村人たちが総出で楽しむ素朴で温かい活気が大きな特徴です。\n\n### この季語で詠むコツ\n地芝居を詠む際は、舞台上の演技そのものだけでなく、周囲の空気感や観客の様子、舞台裏の情景に目を向けると豊かな情景が描けます。秋の澄んだ夜空、揺れる提灯の明かり、観客が持ち寄った座布団や茣蓙(ござ)、知人が大役に扮しているユーモラスさや気迫など、生活感と祭りの高揚感を対比させて詠むのがコツです。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 舞台・道具: 提灯、幕、茣蓙(ござ)、木戸、幟(のぼり)、拍子木\n- 時間・光景: 秋気、名月、夜風、野道、拍手、歓声\n- 人の動き・感情: 隈取(くまどり)、大向こう、知人、熱演、夜更け

地芝居」の俳句例 (3件)

地芝居の幕あきやすき夜風かな
加藤楸邨【現代語訳】地芝居の粗末な幕が、吹き抜ける秋の夜風に何度もめくれ上がっていることだよ。\n【鑑賞】神社の境内など野外にしつらえられた手作りの舞台の風情を、秋の夜風という季感とともに捉えた一句です。幕が風でめくれてしまうような素朴な舞台の様子から、地芝居ならではの手作り感と、秋の夜の肌寒さが鮮やかに伝わってきます。
地芝居の終りしあとの月夜かな
寺山修司【現代語訳】賑やかだった地芝居がすべて終わり、あとに残された静まり返った月夜であることよ。\n【鑑賞】さっきまでの拍手や掛け声、熱気に満ちたお祭り騒ぎが嘘のように引き、澄み切った秋の月だけが舞台跡を照らしている情景です。「祭りの後の寂寥感」と美しい月の光の対比が、深い余韻を残します。
地芝居の筵たたむや月の前
富安風生【現代語訳】地芝居がはねて、客席に敷かれていた筵を人々が片付けている。その頭上には美しい月が輝いている。\n【鑑賞】芝居の終演後、客席の片付けをする人々の動きを描いた句です。筵(むしろ)を一枚一枚たたむ日常の動作と、舞台を照らしていた皓々たる秋の月が美しく調和し、地方の素朴で温かい暮らしの情景を浮かび上がらせています。

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