馬鈴薯

馬鈴薯

じゃがいも・ばれいしょ

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意味・由来

「馬鈴薯(ばれいしょ)」は、ナス科の多年草であるジャガイモの塊茎(実)を指す秋の季語です。初夏に咲く花は「馬鈴薯の花」として夏の季語になりますが、土の中で育った芋を掘り出す収穫期を迎える秋は、芋そのものを指して「馬鈴薯」や「じゃがいも」と呼びます。16世紀末にオランダ船によってジャガタラ(現ジャカルタ)から伝えられたことから「ジャガタラ芋」と呼ばれ、それが「じゃがいも」に転じました。また、馬につける鈴に形が似ていることから「馬鈴薯」の漢名が当てられました。痩せた土地でも育ち、庶民の暮らしや台所を支え続けてきた滋味あふれる食材です。

この季語で詠むコツ

馬鈴薯は、土の匂い、泥の重み、ごつごつとした素朴な手触りなど、触覚や嗅覚を刺激する要素を多く持っています。収穫の喜びや農作業の骨惜しみない労働を詠むのも良く、台所で皮をむく日常の情景や、煮物・ふかし芋などの温かい家庭料理としての親しみやすさを切り取るのも効果的です。どこか哀愁や生活の現実感を帯びた実直な季語なので、気取らない等身大の視点で詠むと深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・手触り: 掘る、泥を落とす、洗ふ、皮むく、掌(てのひら)、重き
  • 生活・調理: 鍋、蒸気、煮ころがし、夕餉(ゆうげ)、台所、夜長
  • 風情・情景: 赤土、夕日、月夜、素朴、母、故郷

馬鈴薯」の俳句例 (3件)

馬鈴薯の皮むく母の小さくなりぬ
能村登四郎【現代語訳】台所でじゃがいもの皮を黙々とむいている母の背中が、いつの間にかずいぶんと小さくなっていることに気づいた。 【鑑賞】日常の何気ない家事のひとコマを通して、老いていく母への愛情と一抹の切なさを捉えた名句です。ごつごつとした馬鈴薯の実直な存在感が、長年家族を支えてきた母の手と重なり、深い哀歓を醸し出しています。
馬鈴薯を掘りつくしたる夕日かな
安住敦【現代語訳】畑のじゃがいもをすべて掘り終えたとき、空には美しい夕日が広がっていた。 【鑑賞】一日がかりの農作業をやり遂げた充実感と心地よい疲労感が、沈みゆく夕日の光景とともに見事に描かれています。掘り起こされた畑の土の匂いと夕暮れの静寂が広がる、秋の実りの情景です。
馬鈴薯の泥を洗へば月夜かな
渡辺水巴【現代語訳】掘り出したばかりの馬鈴薯の泥を井戸水で洗い流していると、いつの間にか空には清らかな月が昇っていた。 【鑑賞】土まみれの素朴な馬鈴薯を洗い清める水の手触りと、ふと見上げた夜空の澄んだ月光との対比が美しい一句です。生活の労働のなかにふと現れる自然の美しさを鮮やかに切り取っています。

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