糸かり姫

糸かり姫

いとかりひめ

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意味・由来

「糸かり姫(いとかりひめ)」とは、秋の季語で女郎蜘蛛(ジョロウグモ)や蜘蛛そのものの雅称・異称です。「糸刈姫」や「糸借姫」とも表記されます。秋風が吹き始める頃、細く美しい糸を巧みに紡ぎ出して網を張る蜘蛛の姿を、糸を紡ぐ神秘的で妖艶な姫神に見立てた、古風で風流な呼び名です。身近な生き物でありながら、どこか儚く怪しげな美しさを宿す季語として古くから俳諧で親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

蜘蛛という現実の虫の生々しさを、雅な「姫」という言葉で包み込むのがポイントです。秋の澄んだ光に銀色に光る巣の美しさや、風に揺れる繊細さ、秋の深まりとともに増す物寂しさを意識して詠むと効果的です。単に蜘蛛の行動を描写するだけでなく、その佇まいに女性的な優美さや哀れさを重ね合わせることで、深みのある一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・光や風の描写(「秋日和」「朝露」「銀の糸」「秋風」など) ・場所や背景(「軒端」「荒れ庭」「薄(すすき)」「古寺」など) ・時間帯(「夕暮れ」「朝ぼらけ」「薄暮」など)

糸かり姫」の俳句例 (3件)

糸かり姫のすがた見せけり秋の雨
炭太祇【現代語訳】しとしとと降る秋の雨の中に、糸かり姫(蜘蛛)がしっとりとその妖しくも美しい姿を現したことだ。【鑑賞】秋雨の冷たい空気感の中で、雨粒に濡れながらじっとたたずむ蜘蛛を「糸かり姫」と呼ぶことで、まるで物語の登場人物のような風情と艶っぽさを醸し出しています。
糸かり姫の宿る薄や露の玉
夏目成美【現代語訳】糸かり姫が巣をかけて宿としている薄(すすき)の穂に、美しい露の玉が光っている。【鑑賞】秋の代表的な草である薄と、その間に張られた蜘蛛の巣に宿る朝露を描いた一句です。清らかな露の輝きと「糸かり姫」という雅語が響き合い、絵画のような繊細な秋の情景が浮かびます。
糸かり姫の宿とる草の露深し
加舎白雄【現代語訳】糸かり姫が今宵の宿と定めて糸を張った草むらには、秋の露が深く降りている。【鑑賞】秋の深まりとともに朝晩の冷え込みが増し、草木にたっぷりと露が置く様子を捉えています。小さな草に儚く住処を作る蜘蛛を優しく見つめる視線に、秋の哀愁が滲み出ています。

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