蚊母樹

蚊母樹

いすのき

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意味・由来

蚊母樹(いすのき)は、マンサク科の常緑高木で、西日本などの暖地に自生しています。「蚊母樹」という漢字表記は、中国の「この木の虫こぶから蚊が生まれる」という伝説に由来します。初夏に赤褐色の小さな花を咲かせますが、俳句では主に秋、葉にできる特徴的な虫えい(虫こぶ)や実が注目され、秋の季語として扱われます。この虫こぶは「ひょんの実」とも呼ばれ、木質化して中が空洞になると、穴に息を吹き込んで笛のように音を鳴らして遊ぶことができます。このため「ひょんの木」とも親しまれています。

この季語で詠むコツ

蚊母樹そのものの深緑の樹勢や硬い木質に目を向ける詠み方と、秋に実る「虫こぶ(ひょんの実)」の素朴な音や風情を取り上げる詠み方があります。特に実を鳴らす時の懐かしい childhood の記憶や、秋風が吹き抜けて自然に鳴る微かな音、山里の静けさといった聴覚的な描写を取り入れると、風情豊かな一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音や風に関する言葉(笛、鳴る、吹き鳴らす、秋風、微風、音色) ・場所や情景に関する言葉(山里、古刹、旅路、夕日、木漏れ日、緑陰) ・動作や心情に関する言葉(拾ふ、鳴らす、立ち止まる、懐かしむ)

蚊母樹」の俳句例 (3件)

蚊母樹の実鳴らしてをれば日が暮るる
高野素十【現代語訳】蚊母樹の実を夢中になって吹き鳴らしているうちに、いつの間にか秋の日は暮れてしまう。 【鑑賞】虫こぶの笛を鳴らす単純な遊びに没頭する無心の時間と、つるべ落としと呼ばれる秋の日の暮れの早さが美しく対比されています。
蚊母樹の実青きを吹けば音も青し
詠み人知らず【現代語訳】まだ青い蚊母樹の実を吹いてみると、その鳴る音までもが青く澄んでいるように感じられる。 【鑑賞】視覚的な「青さ」と聴覚的な「笛の音」を結びつけた瑞々しい感覚表現で、秋の爽やかな空気が見事に表現されています。
蚊母樹の実吹きて旅心やや定まる
篠原梵【現代語訳】蚊母樹の実(ひょんの実)を拾って笛のように吹いているうちに、旅先で落ち着かなかった心が次第に定まってきた。 【鑑賞】旅先で手にした蚊母樹の実を吹き鳴らす素朴な動作を通じて、旅情と心の揺らぎが静かに落ち着いていくさまを描いた名句です。

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