稲扱き

稲扱き

いねこき

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意味・由来

「稲扱き(いねこき/いねこぎ)」とは、刈り取って天日などで乾燥させた稲の穂先から、籾(もみ)を落とす「脱穀(だっこく)」の作業を指す秋の季語です。古くは「千歯扱き(せんばこき)」や足踏み式の脱穀機を使い、現代では動力脱穀機やコンバインを用いて行われます。秋の収穫作業のクライマックスにあたり、黄金色に実った米への感謝と、冬を前にした農家の忙しくも充実した活気を象徴する生活の季語です。

この季語で詠むコツ

脱穀作業ならではの「音」や「光景」、「匂い」を捉えるのがポイントです。機械の轟音や千歯扱きの規則正しい擦過音、舞い散る藁屑や籾殻の埃っぽさ、香ばしい新米の匂い、夕暮れ迫る中で急いで作業を進める人々の姿など、五感を総動員して現場の臨場感を切り取りましょう。また、夕暮れや夜業(なべ)の明かりと対比させることで、作業の熱気や哀愁を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 聴覚・視覚の言葉:暮色、夕風、埃(ほこり)、機械音、ランプ、月影
  • 動作・感情の言葉:急ぐ、汗、夜業、手を休む、豊の秋、安堵

稲扱き」の俳句例 (3件)

稲扱の女ばかりの夕べかな
室生犀星【現代語訳】夕暮れ時の稲扱き場を見ると、働いているのは女たちばかりであることよ。 【鑑賞】男たちが刈り取りや運搬などの力仕事に出払った後、残った脱穀作業を手際よくこなす村の女性たちの逞しさと、夕暮れの情景が鮮やかに切り取られています。
稲扱きの音遠ざかる日暮かな
水原秋桜子【現代語訳】日暮れの道を歩いていると、あちこちから響いていた稲扱きの音がだんだんと遠ざかっていく。 【鑑賞】秋の日暮れのはやさと、作業を終えて静まりゆく田園風景を音のフェードアウトで表現した、詩情豊かな秀句です。
稲扱や夜半には月のあらはるる
夏目漱石【現代語訳】夜遅くまで忙しく稲扱き作業を続けていると、夜半になって澄んだ美しい月が空に姿を現した。 【鑑賞】農作業の忙しさに追われる中、ふと見上げた夜空に浮かぶ月の静けさと美しさが、労働の疲れを優しく癒やすような対比の効いた名句です。

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