支倉忌

支倉忌

はせくらき

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意味・由来

「支倉忌(はせくらき)」は、江戸時代初期に仙台藩主・伊達政宗の命を受け、慶長遣欧使節を率いてローマへと渡った武将・支倉常長(洗礼名ドン・フィリッポ・フランシスコ)の命日(旧暦7月1日、新暦1622年8月24日、あるいは9月など諸説あり)を偲ぶ仲秋の季語です。木造船「サン・ファン・バウティスタ号」で太平洋を渡り、メキシコを経てローマ教皇パウロ5世に謁見するという壮挙を成し遂げながらも、帰国時には日本国内でキリシタン弾圧が激化しており、不遇のうちに没した悲劇の英雄を追悼します。

この季語で詠むコツ

激動の歴史ロマンと、使命を果たしながらも報われなかった孤独や無念を詠み込むのが基本です。雄大な大海原や荒波、渡航先のエキゾチックな西洋の風景、あるいは使節船が出帆した宮城県牡鹿半島の「月の浦」など、具体的な舞台を想起させることで詩情が深まります。秋の澄んだ空や吹き抜ける涼風、愁いを含んだ季節感と響き合わせることで、歴史の哀愁を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・地理・海洋の言葉:月の浦、太平洋、外海、怒濤、潮騒、海図、白帆 ・キリシタン・西洋風の言葉:十字架(クルス)、ロザリオ、オリーブ、ガレオン船、異国 ・心情や情景の言葉:祈り、孤愁、風化、秋風、夕茜、遠き日

支倉忌」の俳句例 (3件)

支倉忌オリーブの葉の裏返り
鍵和田秞子【現代語訳】支倉常長の命日を迎えた今日、オリーブの葉が秋風に吹かれて白く裏返っている。 【鑑賞】支倉常長が訪れた地中海・南欧を象徴する「オリーブ」を取り合わせた鮮烈な一句です。秋風に翻るオリーブの葉裏の銀白色に、遥かなる西洋への航海と、常長の胸に宿り続けた信仰の光が美しく重なり合っています。
支倉忌波濤万里を越えし舟
有馬朗人【現代語訳】支倉常長の忌日に思いを馳せれば、万里に及ぶ荒波を越えて航海したあの使節船の姿が浮かんでくる。 【鑑賞】サン・ファン・バウティスタ号が幾重にも押し寄せる荒波を乗り越えて進む壮大な姿を率直に詠み上げています。歴史のスケールの大きさと、秋の海原の厳しさが「波濤万里」という力強い言葉に凝縮されています。
支倉忌潮の匂ひの胸牌かな
能村登四郎【現代語訳】支倉忌に目にする位牌(胸牌)から、かつて常長が渡った遠い海原の潮の匂いが漂ってくるかのようだ。 【鑑賞】「胸牌(きょうはい)」とは位牌のこと。過酷な航海を乗り越え、太平洋を渡った武士の生涯を偲び、その遺品や位牌に今もなお海の記憶が染みついているかのように感じ取った、重厚で哀切漂う名句です。

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