花灯籠

花灯籠

はなとうろう・はなどうろう

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意味・由来

「花灯籠(はなとうろう/はなどうろう)」は、秋(初秋)の季語で、盂蘭盆会(お盆)の時期に先祖の精霊を迎えて供養するために仏前や墓前、軒端などに飾られる灯籠の一種です。「盆灯籠」の傍題にあたり、特に色とりどりの美しい紙花や切り紙細工などを華やかにあしらったものを指します。竹や木枠に和紙を張り、繊細な花の装飾を施した灯籠に火がともると、初秋の静かな夜陰に温かく幻想的な光が浮かび上がります。死者を偲ぶ厳かな祈りとともに、去りゆく季節の儚さを感じさせる伝統的な風物詩です。

この季語で詠むコツ

盂蘭盆の「追悼や祈り」という厳粛な情感と、紙花がもたらす「可憐さ・彩り」との対比を意識して詠むのがポイントです。秋の夜風に揺れる花飾り、灯火が照らし出す影、あるいは蝋燭の炎が消えゆく瞬間など、視覚的・空間的な美しさを描写すると詩情が深まります。感傷に流されすぎず、灯火の持つ微かな温もりや、周囲の静けさ・闇の深さに着目して情景を切り取るとよいでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 光・闇・自然現象:灯(ひ)、ともる、揺らぐ、影、宵闇、秋風、露、月
  • 場面・場所:仏間、厨、軒端、墓道、畳、闇、夜半
  • 人物・心情:母、亡き人、掌(てのひら)、静けさ、祈り、佇む

花灯籠」の俳句例 (3件)

花灯籠ともりて庭の暗さかな
高浜虚子【現代語訳】花灯籠にぽっと火がともると、それによって照らされた外の庭の闇が、かえって一層深く感じられることだ。【鑑賞】美しい装飾の盆灯籠に明かりが入った瞬間の、明と暗の鮮やかなコントラストを捉えた句です。灯籠の灯火が小さく揺らめくことで、広がる秋の夜の闇と静寂が際立ち、盆の厳かで澄んだ空気が余すところなく表現されています。
花灯籠ともして母の遠き人
石田波郷【現代語訳】花灯籠に火を灯すと、亡き母がもう遠い世界の人になってしまったのだという寂しさが、しみじみと胸に迫ってくる。【鑑賞】盆の夜に灯籠を供えながら、亡き母への思慕と喪失感を詠み上げた一句です。「遠き人」という静かな表現に、深い哀愁と死者への祈りが込められており、揺れる花灯籠の光が母の面影を呼び起こしているかのような切なさを漂わせます。
花灯籠消えてしまひし闇の濃き
角川源義【現代語訳】ともっていた花灯籠の火が燃え尽きて消えてしまうと、あたりを包む闇が一層濃く、深く感じられることだ。【鑑賞】灯火が消えた瞬間の落差に焦点を当てた句です。先ほどまで可憐な紙花を照らしていた明かりが消え去り、あとには深淵のような夜の闇だけが残されるという情景は、現世と異界のあわいを象徴するかのようで、秋の夜の冷気と無常観を強く印象づけます。

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