花煙草

花煙草

はなたばこ

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意味・由来

「花煙草(はなたばこ)」は、初秋から秋にかけて咲くタバコ(ナス科)の花のことです。喫煙用の葉タバコを栽培する畑に咲く淡いピンクや白色の可憐な花だけでなく、観賞用として庭先や花壇に植えられる「ニコチアナ」などの園芸品種も含まれます。ナス科特有の星形やラッパ状の筒形をした清楚な花で、特に夕暮れから夜にかけて開花し、あたりに甘く芳しい香気を漂わせる性質があります。収穫を待つ葉の逞しさと、その上にひっそりと咲く花の繊細さの対比が秋の情趣を誘います。

この季語で詠むコツ

花煙草の大きな特徴は、「夕方から夜にかけて芳香を放つこと」と「夕暮れの薄明かりの中に浮かび上がる淡い花の色」です。日中の明るい日差しの中よりも、黄昏時や夜、あるいはしっとりとした秋雨の降る薄暗い時間帯を描くと、季語の持つ幽玄で哀愁を帯びた雰囲気を鮮やかに引き出すことができます。葉の青々とした茂みと花の淡い色彩のコントラストに目を向けるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・時間・光の情景:「夕暮」「黄昏」「暮色」「宵」「薄明かり」「月影」 ・香気や風:「微風」「夕風」「匂ふ」「移り香」「甘き香」 ・質感や情感:「白し」「うす紅」「しづけさ」「雨気」「哀傷」

花煙草」の俳句例 (3件)

花煙草夕空高くなりにけり
久保田万太郎【現代語訳】花煙草が咲いている庭の向こうに、秋の夕空が澄み渡り、吸い込まれそうに高く広がっていることだ。 【鑑賞】地に咲く可憐な花煙草の佇まいから、ふと見上げた夕空の広大さ・高さへと視線が抜けていく開放的な名句です。秋が深まり空気が澄んで空が高く感じられる季節の推移を、地上にひっそり咲く花煙草の風情と巧みに対比させています。
花煙草暮れて白さのきはまりぬ
富安風生【現代語訳】夕暮れが訪れてあたりが暗くなるにつれて、花煙草の白い色がひと際くっきりと際立ってきた。 【鑑賞】花煙草の持つ「夕暮れに存在感を増す」という生態的特徴を見事にとらえた句です。周囲の景色が薄闇に沈んでいく中、ぽっと灯りがともったかのように白さを増す花の清純さと、静まり返る秋の夕べの情感が美しく響き合っています。
花煙草夕暮れかけて白きかな
山口青邨【現代語訳】夕暮れが近づくにつれて、花煙草の花がほの白く浮かび上がっていることだよ。 【鑑賞】日没前の微妙な光の移ろいの中で、次第に鮮明になる花煙草の白に注目した一句です。日中は葉の影に目立たなかった花が、逢魔が時にふと主役に躍り出るような繊細な瞬間を、素直な調べで写し取っています。

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