墓掃除

墓掃除

はかそうじ

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意味・由来\n「墓掃除(はかそうじ)」は、初秋のお盆や仲秋の秋彼岸を迎えるにあたり、先祖の墓所を訪れて雑草を抜き、墓石を水で洗い清める行いを指す秋の季語です。傍題には「墓洗ふ」「墓掃く」などがあります。古くから祖先の霊を敬い、清らかな環境で供養したいという日本人の情愛から生まれた言葉です。真夏の厳しい暑さが和らぎ、初秋の涼風が吹き始める墓地で、冷たい水を使って石を磨く行為には、季節の移ろいとともに生と死、命の連なりを実感させる静かな趣があります。\n\n### この季語で詠むコツ\n単なる「掃除をして綺麗になった」という作業報告に終わらせないことが最も大切です。墓石に触れた手の冷たさ、水をかけた石の濡れ色、立ちのぼる線香の匂いなど、五感に訴える具体的な描写を取り入れましょう。また、無心に石を洗う中でふとよぎる亡き人への追悼の念や、自分自身が今「生きている」という感慨など、自己の心象風景を重ね合わせると句に深い奥行きが生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・動作や道具:柄杓、手桶、冷水、束ね水仙、線香、たわし\n・秋の景物:秋風、秋日和、秋茜(赤とんぼ)、薄日、露、木洩れ日\n・心情や感覚:無言、ぬくもり、澄む、父母、生と死

墓掃除」の俳句例 (3件)

墓洗ふ父の小さき影を踏み
能村登四郎【現代語訳】墓を洗い清めている父の、年老いて小さくなった影をそっと踏みながら作業を手伝っている。【鑑賞】傍題「墓洗ふ」の句。先祖の墓を掃除する年老いた父の後ろ姿を見つめる息子の視線が描かれています。小さくなった父の影に老いを感じ取り、やがて訪れる世代の交代や親子の情愛をしみじみと捉えています。
墓掃除してゐて生きてゐると思ふ
長谷川櫂【現代語訳】墓石をきれいに掃除しているうちに、自分は今こうして生きているのだという実感が湧いてくる。【鑑賞】死者が眠る墓を清めるという行為を通じて、逆説的に自分自身の生々しい生命の存在を強く意識させられた名句です。先祖との無言の対話が生んだ深い哲学的実感が、平明な言葉で素直に表現されています。
墓洗ふ水したたりて去りがたし
臼田亜浪【現代語訳】洗った墓石から水がぽたぽたと滴り落ちており、その場から立ち去りがたい思いがする。【鑑賞】傍題の「墓洗ふ」を用いた句。綺麗に磨き終えた墓石から滴る水に、先祖の面影や尽きせぬ追慕の情が重なります。掃除を終えて立ち去らねばならない名残惜しさと、秋の静けさが滲み出る哀愁に満ちた作品です。

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