萩猿子

萩猿子

はぎましこ

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意味・由来\n萩猿子(はぎましこ)は、スズメ目アトリ科の小鳥「ハギマシコ」を指す晩秋から冬にかけての季語です。シベリアなど北方から日本へ越冬のために渡ってきます。「猿子(ましこ)」とは、顔や体が赤ら顔の猿に似て赤みを帯びている鳥の総称です。本種は雄の羽毛が、まるで秋に咲きこぼれる萩の花のような美しい赤紫色(紫紅色)やピンク色を帯びていることからこの風雅な名が付きました。高山の岩場や礫地、寒冷な山林を好んで群れで行動し、草木の種子などを啄みます。厳しい寒さの中で見せる可憐な萩色の姿が、俳人たちに深く愛されてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n萩猿子を詠む際は、その名の由来となった「萩の花を思わせる独特の美しい赤色」と、彼らが生息する「寒冷で荒涼とした山岳風景」との鮮やかなコントラストを描くのが最大のコツです。晩秋の澄んだ冷気、風の吹き抜ける嶺、枯草や岩肌といった索漠とした冬近い風景の中に、萩猿子の胸や翼の紅紫がぽっと浮かび上がる様を捉えると、景に温もりと叙情が生じます。また、群れで細やかに飛び交い、地面の餌を啄む軽やかな動きや、チチッと小さく鳴く声を写生するのも効果的です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・山岳や地形の言葉:嶺(みね)、高嶺(たかね)、岩肌、断崖、尾根、礫(れき)\n・晩秋から初冬の自然:枯野、落葉、初雪、木枯らし、薄日、日矢(ひや)\n・鳥の生態を描く動詞:群れ飛ぶ、啄む(ついばむ)、こぼるる、跳ねる、翔つ(たつ)

萩猿子」の俳句例 (3件)

萩ましこ嶺の落葉にまぎれ飛ぶ
角川源義【現代語訳】萩猿子が、山の峰に降り積もった落ち葉の中に見え隠れしながら飛び交っている。【鑑賞】晩秋の山頂付近、茶色く散り敷かれた落葉のなかで餌を探して飛び交う萩猿子の姿を捉えた句です。落ち葉の乾いた褐色の中に、鳥の羽の持つ淡い紅紫色の輝きが重なり、晩秋特有の静けさと色彩の美しさを巧みに描いています。
萩ましこ風さわぐ嶺をわたりゆく
福田蓼汀【現代語訳】萩猿子の群れが、冷たい風が吹き荒れる高嶺を越えて飛び去ってゆく。【鑑賞】福田蓼汀は山岳俳句の第一人者として知られます。寒風が吹き荒れる厳しい山の尾根を、萩の花のような紅色を帯びた小鳥たちが軽快に渡っていく情景です。厳しい自然環境と、その中をたくましく美しく生きる野鳥の生命力が見事に対比されています。
萩ましこ岩の窪みに餌を拾ふ
大野林火【現代語訳】萩猿子が、寒々とした岩のくぼみに落ちている草の実などの餌を拾い集めて啄んでいる。【鑑賞】高山の荒涼とした岩場という険しい場所に生きる小鳥の、飾らない日常の生態を温かい視線で切り取っています。「岩の窪み」という小さな空間に焦点を絞ることで、萩猿子の小さく愛らしい姿とその色彩が一層際立ち、静かな冬の気配が感じられます。

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