玉魫蘭
autumn 生活

玉魫蘭

ぎょくちんらん

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意味・由来

「玉魫蘭(ぎょくちんらん)」は、秋に開花する東洋蘭(秋蘭)の一種です。別名で「玉魫(ぎょくちん)」とも呼ばれます。「玉魫」の「魫」は魚の鱗(うろこ)を意味し、白く透き通るような美しい花弁の様子を、磨かれた玉(ぎょく)や美しい鱗に例えたことが名前の由来とされています。淡い緑色や白色を帯びた上品な花を咲かせ、非常に清らかで高貴な強い香りを放つのが特徴です。古くから文人たちに愛され、書斎や床の間に飾ってその静かな佇まいと芳香を楽しみました。

この季語で詠むコツ

玉魫蘭を詠む際は、その「高雅な香り」と「静寂の佇まい」をいかに表現するかが鍵となります。大輪の華やかな花ではないため、派手な描写を避け、室内の薄暗さや、秋の夜の澄んだ空気感などと対比させると効果的です。視覚的な美しさ(白や淡い緑)だけでなく、嗅覚(ほのかな香り)や、肌で感じる秋の冷気(触覚)など、複数の感覚を重ね合わせることで、この蘭の持つ独特の清涼感が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 香りを引き立てる言葉: 「ほの香(か)」「薫る」「夜の冷(ひえ)」「澄む」
  • 室内や静寂を表す言葉: 「床の間(とこのま)」「書斎」「ともし火」「机」「薄暗し」
  • 季節感を補う言葉: 「秋の風」「夜長」「秋涼」

玉魫蘭」の俳句例 (3件)

玉魫の香や机の上の夜の冷
正岡子規【現代語訳】玉魫蘭の気品ある香りが漂うなか、机の上には秋の夜のしんとした冷気が満ちてきている。 【鑑賞】書斎での静かな執筆の時間を詠んだ一句。机の片隅に置かれた玉魫蘭の香りが、夜が更けるにつれて増していく室内の寒気と混ざり合い、秋の深まりを感じさせます。
玉魫の白きに秋のともし火よ
高浜虚子【現代語訳】静かに咲く玉魫蘭の白い花に、秋の夜のあたたかな灯火が柔らかく映えていることよ。 【鑑賞】薄暗い部屋の中で、灯火に照らされて白く浮かび上がる玉魫蘭を捉えた、絵画のように美しい一句。秋の夜特有の、落ち着いた静謐な時間が表現されています。
玉魫の香やほの暗き床の奥
飯田蛇笏【現代語訳】薄暗い床の間の奥から、玉魫蘭の上品で凛とした香りがかすかに漂ってくる。 【鑑賞】姿がはっきりとは見えない薄暗い床の間に置かれた蘭。その目に見えない香りの存在感を通して、和室の持つ奥深さと蘭の高潔さを対比させた、わびさびを感じる名句です。

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