夏の果
autumn 時候

夏の果

げのはて

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意味・由来

「夏の果(げのはて)」は、仏教において僧侶たちが一箇所にこもって修行を行う「安居(あんご)」または「夏(げ)」の最終日(陰暦七月十五日の解夏)を指す季語です。厳しい修行の期間が明けるという開放感とともに、精神的な精進を終えた寂寥感や、厳かな余韻が含まれています。単なる季節の移り変わりとしての「夏の終わり」を超えて、精神的な節目や静寂な時の流れを感じさせる非常に奥深い季語です。

この季語で詠むコツ

単に「暑い夏が過ぎ去る」という気候の変化として捉えるのではなく、一つの尊い時間や努力が区切りを迎えることへの「心の動き」を意識して詠むのがコツです。静かで張り詰めた空気感や、自己の内面を省みるような知的で内省的なアプローチを取り入れると、この季語が持つ特有の清廉な雰囲気が引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

「僧」「法(のり)」「経」「寺」「鐘」といった仏教行事にまつわる言葉と抜群の相性を見せます。また、「心」「恩」「問い」「静けさ」など、人間の精神活動や感情に焦点を当てた言葉、あるいは「日暮れ」「雲」「風」といった、静かに変化していく自然描写を取り合わせるのも効果的です。

夏の果」の俳句例 (3件)

夏の果の僧に問はんと思ひしが
高浜虚子【現代語訳】夏の修行(安居)が明けるこの日に、僧に人生の深い真理について問いかけてみようと思っていたのだが、結局問いそびれてしまったことだ。 【鑑賞】夏の修行が明ける「解夏」の静謐な雰囲気の中で、仏道や生き方についての疑問を抱きながらも、ついに言葉にできなかった作者の知的な余情と、どこか寂しげな余韻が美しく表現されています。
夏の果の一日を法に暮しけり
阿波野青畝【現代語訳】夏の修行の最後の日を、一日中、仏の尊い教え(法)を聴き、その清らかな教えの中に身を置いて過ごしたことだ。 【鑑賞】安居が明ける「夏の果」の日の、静かで厳かな宗教的充実感を素直に詠んでいます。「法に暮らす」という表現が、心が洗われるような清らかな時間の経過を感じさせ、深い安らぎを与えてくれます。
夏の果や身を終るまで母の恩
大野林火【現代語訳】夏の修行が明けるこの節目にあたり、改めて思うのは、この命が尽きるその時まで、母から受けた恩恵は決して消えることはないということだ。 【鑑賞】「夏の果」という精神的な節目において、自己の生い立ちを見つめ直し、親への深い感謝と自省の念を抱いている句です。作者の真摯な姿勢と、母への思慕が胸を打つ名句です。

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