海霧
autumn 天文

海霧

がす

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意味・由来

「海霧(がす)」は、海上で発生して陸地に流れ込んでくる濃い霧を指す言葉です。特に北海道などの北国の沿岸部でよく使われる表現で、夏の季語として扱われることが多いですが、秋の涼風や冷気と混じり合う海霧は、秋特有の寂寥感や情緒を色濃く反映します。冷たく湿った白いベールが、またたく間に周囲の景色を覆い隠し、見慣れた港町や岬を幻想的な世界へと変貌させる自然現象です。

この季語で詠むコツ

海霧を詠む際は、単に「霧が深い」と説明するのではなく、霧によって「何が見えなくなったか」、あるいは「何がかすかに見えているか」に焦点を当てることがコツです。例えば、灯台の明かりや船の汽笛など、聴覚やわずかな視覚情報を頼りにする状況を描くことで、海霧の濃さや冷たさが生々しく伝わります。また、霧に濡れた植物や窓ガラスの質感を描写するのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 光や灯りに関する言葉(「灯」「ともしび」「明滅」「かすか」)
  • 港や海辺の事物(「汽笛」「岬」「マスト」「網戸」「ダリア」)
  • 体感を表す言葉(「濡れる」「冷え」「しっとり」「閉ざす」)

海霧」の俳句例 (3件)

海霧晴れてたちまちひかるダリアかな
渡辺水巴【現代語訳】立ち込めていた海霧がさっと晴れ上がると、露に濡れたダリアの花が、射し込んできた陽光を浴びてたちまち鮮やかに輝きだしたことよ。 【鑑賞】冷たく白い海霧が晴れた瞬間の、劇的な色彩と光の対比が見事な句です。霧に包まれていた静寂から、ダリアの鮮烈な赤や黄色が一気に目に飛び込んでくる躍動感があります。
海霧の街人それぞれに灯をともす
木村蕪城【現代語訳】海霧が深く立ち込める北国の街で、夕暮れとともに、人々がそれぞれの家や店にぽつりぽつりと明かりを灯し始めている。 【鑑賞】冷たい海霧が街全体を白く閉ざす中、それぞれの窓に灯る温かな明かりが、人々の営みやぬくもりを感じさせます。孤独感と人恋しさが同居する抒情的な一景です。
海霧のぼる一樹に鳥のあつまりて
飯田龍太【現代語訳】海霧が下から湧き上がるように立ち上ってくる中、一本の木に鳥たちが次々と集まって身を寄せ合っている。 【鑑賞】視界が霧に遮られていく不安な状況の中で、鳥たちが本能的に一つの大樹に集まる静謐な瞬間を捉えています。自然の厳しさと、その中で生きる小動物の生命の息吹が静かに描かれています。

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