雁来瘡
autumn 動物

雁来瘡

がんがさ

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意味・由来\n「雁来瘡(がんがさ)」とは、秋に北国から雁が渡ってくる頃に、手足や体などにできるおできや湿疹、または漆かぶれなどの皮膚病を指す季語です。「がんそう」「雁瘡(がんがさ)」とも呼ばれます。季節の変わり目、特に秋の乾燥し始める時期に肌が荒れたり、湿疹が起きたりする現象を、雁の飛来という風物と結びつけて名付けられました。生活の現実的な苦痛や不快感の中に、季節の移ろいを感じ取る、日本人の繊細な感性と暮らしの知恵が息づいている季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「皮膚病」という一見すると俳句には不向きで生々しい題材ですが、これを「秋の訪れ」という詩的な背景と重ね合わせることがポイントです。かゆみや痛みに耐える日常のやりきれなさを、秋風や夜寒といった自然の厳しさと同調させ、時にはユーモアを交え、時には哀愁深く描くことで、リアリティのある生活感に満ちた句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・日常生活の動作・道具:「薬」「掻く」「灯火(ともしび)」「手元」\n・秋の寒さを表す言葉:「夜寒(よさむ)」「秋風」「冷やか」\n・身体感覚や心情:「痒し(かゆし)」「寂し」「憂し(うし)」

雁来瘡」の俳句例 (3件)

雁瘡に薬ぬる夜の灯かな
与謝蕪村【現代語訳】秋になり体にできた雁瘡(おでき)に、一人静かに薬を塗っている夜の灯火よ。【鑑賞】静寂に包まれた秋の夜、灯火の薄明かりの中で我が身の皮膚病に薬を塗るという、極めてプライベートで泥臭い行為を描いています。しかし蕪村の繊細な絵画的センスによって、寂寥感の中にどこか温かみのある、美しい一幅の絵のような情緒が生み出されています。
雁瘡や親の薬をなめもしつ
小林一茶【現代語訳】雁瘡ができてしまい、親が塗ってくれる薬を、(どんな味がするものかと、あるいは効くようにと信じて)なめてみたりしたものだ。【鑑賞】幼い頃の痛痒い記憶と、親の温かい看病の思い出を重ね合わせた一茶らしい一句です。雁瘡という泥臭いおできをきっかけに、懐かしい親への追慕が、ユーモアと愛嬌を交えて素直に表現されています。
雁瘡や畳へ落つる箸の先
高浜虚子【現代語訳】体に雁瘡ができてその痒さや痛みに気を取られているうちに、持っていた箸の先を畳へ落としてしまったことだ。【鑑賞】雁瘡による小さな不快感が、日常のふとした動作に影響を与える瞬間を実に見事に切り取っています。「箸の先が畳に落ちる」という微細なリアリズムを通じて、病を抱える身のやり切れなさと、秋の静けさが際立つ名句です。

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