大般若

大般若

だいはんにゃ

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意味・由来

「大般若(だいはんにゃ)」は、仏教の重要な経典である『大般若経』六百巻を読誦(どくじゅ)する法会「大般若会(だいはんにゃえ)」を指す秋の季語です。全巻を実際に読誦するのは膨大な時間がかかるため、僧侶たちが経本をアコーディオンのように宙へパラパラと大きく繰り広げる「転読(てんどく)」という独特の作法が行われます。経本が翻る際に起こる風(般若の風)に当たると、無病息災や厄除けのご利益があると信じられてきました。秋の実りへの感謝や祈願を込めて秋に行われることが多いため、秋の季語となっています。

この季語で詠むコツ

大般若の最大の特徴は、何人もの僧侶が一斉に経本を繰る「視覚的な躍動感」と「パラパラとはためく音」、そして堂内に響き渡る「読経の声」です。静寂な寺院の中で突如として巻き起こるダイナミックな風や音に焦点を当てると臨場感が出ます。また、お堂の薄暗がりと差し込む秋の日差し、あるいは秋澄む空気感との対比を描くのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚・聴覚:翻る(ひるがえる)、はたはたと、風、声、金襴、経机 ・寺院の情景:本堂、回廊、木魚、線香、読経 ・秋の季語・情景:秋風、秋晴、秋澄む、秋の日、木漏れ日

大般若」の俳句例 (3件)

大般若経ひるがへる秋風に
正岡子規【現代語訳】大般若経が勢いよく宙に翻り、吹き抜ける秋風と一つに溶け合っている。 【鑑賞】僧侶が転読する経本の激しい動きと、堂内を通り抜ける爽やかな秋風を見事に重ね合わせた一句です。経本が風を呼び、その風が秋の澄んだ空気を運んでくるような、視覚的・体感的な心地よさがストレートに表現されています。
大般若風の走るを止め得ず
中村汀女【現代語訳】大般若の転読によって巻き起こった激しい風が、堂内を走り抜けていくのを止めることができない。 【鑑賞】転読によって生じる「般若の風」の力強さに着目した句です。経本がはためく音とともに生まれる風が、人智を超えた宗教的なエネルギーとなって走り抜けていく様子を、女性らしい鋭敏な感覚で捉えています。
大般若はたはたと風起りけり
五十嵐播水【現代語訳】大般若経を繰る「はたはた」という音とともに、確かにそこから風が巻き起こった。 【鑑賞】「はたはた」という経本が翻る軽快なオノマトペによって、転読の作法と音、そして風の発生がありありと伝わってきます。平明な言葉遣いながら、法会の現場の空気感とありがたい風の存在感を的確に描き出した名句です。

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