葡萄酒製す

葡萄酒製す

ぶどうしゅせいす

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意味・由来

「葡萄酒製す(ぶどうしゅせいす)」は、秋に収穫されたばかりの瑞々しい葡萄を搾り、発酵させてワインを造る作業を詠む仲秋から晩秋にかけての季語(生活・人事)です。傍題には「葡萄酒造る」「ワイン造る」などがあります。 日本におけるワイン醸造は明治時代初期、山梨県などで本格的に始まりました。初秋の実りの喜びとともに、果汁がしたたり、蔵の中に甘酸っぱい香りが立ち込める情景は、西洋伝来のロマンと日本の農村・山里の秋の活気を感じさせます。

この季語で詠むコツ

果実を潰す足や手、搾汁機、ずらりと並ぶ木樽や近代的なタンクなど、製造現場の具体的な「物」や「動作」に焦点を当てると臨場感が出ます。また、醸造蔵特有の薄暗がりと外の秋晴れの対比、漂う果実香や発酵の微かな音など、五感(嗅覚・視覚・聴覚)を総動員して捉えると、芳醇な雰囲気が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・製造の場や道具:木樽、搾汁機(圧搾機)、地下蔵、薄暗がり、長靴、赤き掌 ・醸造地の風土:甲斐(甲州)、山国、傾斜地、ワイナリー、夕日、秋風 ・感覚を表す語:滴る、発酵(かもす)、紫、芳香、夜寒

葡萄酒製す」の俳句例 (3件)

葡萄酒を製すべく踏む巨眼かな
飯田蛇笏【現代語訳】葡萄酒を造るために、大きな目を見開いた男が力強く葡萄を踏み潰していることよ。 【鑑賞】名産地・山梨(甲斐)の風土を愛した蛇笏の代表作の一つです。かつて伝統的に行われていた「葡萄踏み」の労働に従事する男の、爛々と光る大きな眼(巨眼)に焦点を当てています。原始的ともいえる作業の迫力と、秋の農村の力強い生命感が凝縮された名句です。
葡萄酒を製す夜寒の搾汁機
福田蓼汀【現代語訳】夜の寒さが身にしみるころ、搾汁機を動かして葡萄酒を造っている。 【鑑賞】秋が深まり夜の冷え込みが増すなか、収穫された葡萄を搾る機械が稼働している情景です。「夜寒」という時候の季語を配合することで、冷え冷えとした薄暗い工場の中で、ひたむきに続く作業の緊張感と機械の金属的な響きが鮮明に伝わってきます。
葡萄酒を製す樽の香に酔ひぬるか
阿部みどり女【現代語訳】葡萄酒を造っている蔵の、立ち込める樽の香りに思わず酔ってしまったのだろうか。 【鑑賞】ワイン蔵に一歩足を踏み入れたときの、発酵中の葡萄の芳醇な甘い香りと木樽の匂いに包まれる感覚を素直に詠み留めています。実際に酒を口にしたわけではないのに、その濃厚な芳香だけでふわりと心地よく酔ってしまいそうな、情緒あふれる一句です。

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