野塘菊

野塘菊

あれちのぎく

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意味・由来\n「野塘菊(あれちのぎく)」は、キク科ムカシヨモギ属の越年草で、秋の季語です。南アメリカ原産の帰化植物で、明治時代初期に日本に定着したとされています。道端、空き地、造成地、線路際などの荒れた乾いた土地(塘=堤や土手、荒れ地)にいち早く生え広がることからこの名がつきました。花は淡い黄緑色で、一般的な菊のような華やかな花びら(舌状花)は目立たず、控えめで素朴な頭状花を咲かせます。どこにでも見られる雑草ですが、都会の片隅や荒涼とした風景に寄り添う、秋の哀愁と逞しさを兼ね備えた季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n庭に咲く観賞用の菊花とは異なり、人が顧みない路傍や空き地、工場地帯、夕暮れの街角といった、少し寂しげで生活感のある風景とともに詠むのが効果的です。華やかさのない小さな花だからこそ、風の冷たさや日差しの傾き、乾いた土埃の匂いなど、晩秋の乾いた空気感を捉えることで、句に深いリアリティと情感が生まれます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・場所・情景:空地、路地裏、廃屋、踏切、アスファルト、土手、夕日、夕風\n・質感・状態:傾く、埃、乾く、風をはらむ、揺るる、群れて\n・色彩・光:淡黄、セピア、錆色、暮れなずむ、斜光

野塘菊」の俳句例 (3件)

荒地野菊風をはらみて立ちにけり
山口誓子【現代語訳】荒地に咲く野菊が、吹き抜ける秋風をその身いっぱいに受けて力強く立っている。【鑑賞】荒地野菊の強靭な生命力と、秋の風の冷たさ・激しさを捉えた一句です。「風をはらみて」という表現により、植物のしなりと風の存在感が鮮やかに描き出されています。
荒地野菊貧しき町を愛すべし
西東三鬼【現代語訳】荒地野菊が咲くようなこの貧しい町であるが、自分はこの町を愛さねばならない(愛そう)。【鑑賞】飾らない市井の人々の暮らしや、うらぶれた町の佇まいへの深い愛着と哀愁が、荒地にひっそりと咲く野塘菊の姿に重ね合わされています。
荒地野菊夕日まみれとなりにけり
鈴木真砂女【現代語訳】荒地に群れ咲く野菊が、傾いた秋の強い夕日を全身に浴びて黄金色に染まっている。【鑑賞】地味で目立たない荒地野菊が、晩秋の強い夕暮れの光に包まれて一瞬の劇的な輝きを放つ様子を、「夕日まみれ」という情感豊かな言葉で見事に切り取っています。

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