穴惑い

穴惑い

あなまどい

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意味・由来

「穴惑い(あなまどい)」は晩秋の季語です。秋が深まり寒さが厳しくなると、蛇などの変温動物は地中に潜って冬眠に入ります。しかし、中には越冬する穴に入りそびれたり、良い寝ぐらを見つけられずに地上を力なくさまよっている個体が見られます。このような冬眠し遅れてうろうろと迷っている蛇(あるいは小動物)の姿を「穴惑い」または「穴惑(あなまど)」と呼びます。冷気の中で動きが鈍くなり、どこか心もとなげな様子に、去りゆく秋の寂寥感と生き物の哀愁が重ね合わされています。

この季語で詠むコツ

蛇特有の気味悪さや恐ろしさよりも、寒さのために緩慢になった動作や、行くあてのない哀れさ・寄る辺なさに着目するのがポイントです。また、晩秋の乾いた空気や冷え込みを視覚や触覚で描写し、その冷たい風景の中にポツリと現れた「穴惑い」を対比させることで、命の儚さや季節の移ろいを深く表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・風景描写:落葉、枯草、石垣、夕日、初霜、木漏れ日 ・感覚・状態:のろのろと、とぐろ、微動だにせず、冷えまさる、日溜まり

穴惑い」の俳句例 (3件)

穴惑ひどこを枕と定めけん
小林一茶【現代語訳】冬眠しそびれてさまよう蛇よ、今夜は一体どこを枕にして眠る場所に決めたのだろうか。 【鑑賞】寒空の下、冬眠の穴を見つけられずうろうろしている蛇に対して、一茶ならではの温かくユーモラスな同情の眼差しが注がれています。「どこを枕と」と人に擬して問いかけることで、厳しい寒さに耐える小さな生き物への愛しさが胸を打ちます。
穴惑ふ蛇に見られてたたずめり
高野素十【現代語訳】冬眠の穴を探して迷っている蛇に見つめられ、私も思わず足を止めてじっとたたずんでしまった。 【鑑賞】晩秋の静けさの中、寒さで動きの鈍い蛇と偶然視線が交差した瞬間を捉えた写生句です。蛇の無表情な瞳と対峙した作者の緊張感や、互いに動けない冷え冷えとした空気感が静謐に描かれています。
穴惑ふ蛇の尾ひくや草の霜
野沢凡兆【現代語訳】冬眠し遅れてさまよう蛇が、霜の降りた草の上を長い尾を引きずりながら這ってゆく。 【鑑賞】白く降りた霜と、その上を重そうに這う蛇の尾の軌跡が鮮やかなコントラストを描いています。触れるだけで凍えるような晩秋の朝の寒気と、衰えゆく生き物の命の気配が見事に凝縮された名句です。

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