秋ともし

秋ともし

あきともし

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意味・由来

「秋ともし(秋灯し)」とは、秋の夜にともす明かりのことです。「秋灯(しゅうとう・あきのひ)」や「秋の灯(あきのひ)」とも呼ばれます。日が落ちるのが急激に早くなる秋、暗くなった部屋や街並みに灯る明かりには、夏には感じられなかった特別な静けさや、もの寂しさ、そしてどこか人恋しいぬくもりが宿ります。夜長に向かう季節特有の、落ち着いた内省的な空気感を象徴する生活・時候の季語です。

この季語で詠むコツ

単に「明かりがついている」という情景だけでなく、その明かりによって浮かび上がる「影」や「人や物の輪郭」、あるいは「明かりのもとで過ごす時間の静けさ」に焦点を当てるのがコツです。読書、裁縫、誰かを待つ時間、一人きりの思索など、灯火に照らし出される具体的な生活動作や心の陰影をすくい取ることで、秋の深まりと心情が美しく重なり合います。

相性のいい言葉・取り合わせ

・物や身体の動作:読書、ページを繰る、眼鏡、針の穴、机、影、手元 ・空間や静寂を表す言葉:ひと間、壁、夜更け、物音、静寂、すきま風 ・情緒を深める言葉:孤独、ぬくもり、白さ、細き、更くる

秋ともし」の俳句例 (3件)

秋燈や壁に向ひて一人ゐる
正岡子規【現代語訳】秋の灯火のもと、壁に向かってただ一人座っていることだ。 【鑑賞】病臥の生活の中で詠まれた句です。秋の夜の灯りが照らす無機質な壁と、そこに孤独に向き合う己の姿が淡々と描かれています。簡潔な描写の中に、秋特有の深々とした寂寥感と研ぎ澄まされた静寂が際立っています。
秋燈に母の指ゆく針の穴
野見山朱鳥【現代語訳】秋の灯りのもとで、母の指先が針の穴へと糸を通そうと進んでいく。 【鑑賞】秋の夜の柔らかな明かりの中、小さな針の穴に集中する母の手元をクローズアップした秀句です。老いていく母への愛おしさと、静かに更けていく秋夜の親密な時間が、指先の繊細な動きを通して詩情豊かに描き出されています。
秋の灯や机の上にある静か
臼田亜浪【現代語訳】秋の灯りが机の上を照らしており、そこにはただ満ち足りた静けさがある。 【鑑賞】机の上の限られた光の輪の中に、目に見えない「静けさ」そのものが実体を持って存在しているかのように捉えた一句です。秋の夜の澄み切った空気と、内省的で穏やかな時間の広がりを巧みに表現しています。

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