秋さうび

秋さうび

あきそうび

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意味・由来

「薔薇(そうび/ばら)」は本来、初夏の季語ですが、四季咲きや返り咲きの品種が秋に咲かせる花を「秋さうび(秋薔薇)」と呼びます。「そうび」は薔薇の古名・漢名に由来する雅やかな響きを持つ言葉です。春の薔薇が百花繚乱の華やかさや生命力を誇るのに対し、秋さうびは澄み渡る秋気の中で凛とした静けさと気品を湛えて咲きます。気温が下がることで花色がより深まり、香りも凝縮されるため、どこか物悲しくも格調高い風情が愛されてきました。

この季語で詠むコツ

春の薔薇との「情調の違い」を意識することが最も大切です。春の爛漫とした明るさではなく、秋特有の澄んだ空気、移ろいゆく日差し、静けさや寂寥感を取り合わせると季語の持ち味が引き立ちます。大輪の群生よりも、庭の片隅や葉陰にぽつんと咲く一輪・数輪に焦点を当て、深まった花の色や棘(とげ)の鋭さ、静かに散りゆく風情を丁寧に描写すると良いでしょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚・色彩:深紅、純白、夕日、葉影、秋晴(あきばれ)、澄む
  • 質感・形状:蕾(つぼみ)、棘(とげ)、一輪、露
  • 情景・心情:静けさ、日和、庭隅、愁い、淡し

秋さうび」の俳句例 (3件)

秋薔薇の蕾の紅の固きかな
高浜虚子【現代語訳】秋に咲く薔薇の蕾は、その紅色の花びらをぎゅっと固く閉ざしていることだなあ。 【鑑賞】冷気を帯びた秋の空気の中で、春のように一気にほころぶのではなく、固く身を縮めるようにして深い赤を湛えている蕾の力強さと緊張感を捉えた名句です。「固きかな」という力強い詠嘆に、秋薔薇ならではの凛とした佇まいが見事に表現されています。
秋さうび白きが上の夕日かな
詠み人知らず【現代語訳】秋の薔薇の白い花びらの上に、傾いた夕日が静かに照り映えていることよ。 【鑑賞】純白の秋薔薇に斜めから差し込む秋の夕日の情景を、鮮やかな色彩の対比で捉えています。涼やかな白と夕日の温かみのある光が交錯し、静謐でありながらどこか哀愁を含んだ秋の深まりを感じさせる格調高い一句です。
秋薔薇のひらきかさなる日和かな
久保田万太郎【現代語訳】穏やかな秋晴れの日に、秋の薔薇が花びらを幾重にも重ねながら静かにほころんでいることだ。 【鑑賞】小春日和のような穏やかな光の中で、ゆっくりと花びらを開いていく秋薔薇の優美な姿を詠んでいます。「ひらきかさなる」という丁寧な描写が、ゆったりと流れる秋の時間の豊かさと温もりを感じさせます。

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