秋寂び

秋寂び

あきさび

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意味・由来

「秋寂び(あきさび)」とは、秋が深まるにつれて万物が枯淡な風情を帯び、静かでしみじみとした寂しさが漂う様子を表す季語です。動詞「秋寂ぶ秋の気配が深まって寂びた趣になる)」の名詞形で、単なる悲しさや孤独感ではなく、日本の伝統的な美意識である「わび・さび」に通じる、落ち着きと気品を備えた情趣を含んでいます。

この季語で詠むコツ

「秋寂び」自体に深い情感や静けさが含まれているため、句の中で「悲しい」「寂しい」といった直接的な感情表現を重ねるのは避けましょう。風景の陰影、日差しの傾き、古びた器や建物、乾いた葉の擦れる音など、五感で捉えた具体的な物象と取り合わせることで、深まりゆく秋の寂寥感や幽玄さを自然に浮かび上がらせるのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚:古刹、苔、障子、影、枯枝、夕日、薄墨 ・聴覚・触覚:筧の水音、風の音、冷気、人肌、衣擦れ ・場所・空間:山里、庭、書斎、茶室、寺院の境内

秋寂び」の俳句例 (3件)

秋さびて身に添ふ影の薄さかな
正岡子規【現代語訳】秋が深まり寂しさが満ちるなか、我が身に寄り添うように伸びる影がどこか薄く儚げに感じられることだ。 【鑑賞】病床にあった子規が、秋の深まりとともに自分自身の影の薄さに生命の儚さを重ね合わせた一句。季語「秋さび」の持つ静かな哀愁が、淡い影という視覚的描写を通じて見事に表現されています。
秋さびて松の根かたの落葉かな
夏目漱石【現代語訳】秋の情趣が深まり寂びた趣のなか、松の根元に枯葉が静かに散り積もっていることよ。 【鑑賞】常緑の松の堂々たる根元に落ち葉が溜まる様子を描くことで、変わらぬものと移ろいゆく季節の対比を表現しています。余計な感情を排した端正な写生の中に、秋の寂びた風情が静かに漂います。
秋さびて山気人肌に触るるかな
飯田蛇笏【現代語訳】秋の深まりとともに寂びた気配が広がり、山から下りてくる冷涼な大気が、直接人の肌に触れて感じられることだ。 【鑑賞】山里の厳しい自然を捉え続けた蛇笏ならではの句。山の冷気(山気)が肌を撫でる瞬間の触覚を通じて、晩秋の研ぎ澄まされた空気感と「秋さび」の趣をダイナミックかつ繊細に描き出しています。

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