秋の大風

秋の大風

あきのおおかぜ

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意味・由来

「秋の大風(あきのおおかぜ)」とは、秋に吹き荒れる非常に強い風のことを指します。主に初秋から中秋にかけて日本列島を襲う台風(古くは「野分(のわき)」と呼ばれたもの)や、秋の寒冷前線が通過する際に生じる突風・暴風を意味します。春の嵐(春一番など)が命の息吹や土の匂いを運んでくるのに対し、秋の大風は実りの季節を迎えた田畑を脅かし、草木を枯らし、急激な冷え込みをもたらすなど、荒涼とした厳しさと寂寥感を漂わせるのが特徴です。

この季語で詠むコツ

風そのものは目に見えないため、「大風によって何がどうなったか」という具体的な現象を描写することが大切です。草木が激しく撓む様子、飛ばされる落ち葉、家屋のきしむ音、あるいは風が吹き抜けた後の静寂や冷気など、五感(視覚・聴覚・触覚)を総動員して捉えましょう。また、激しい風の勢いそのものを詠むだけでなく、台風一過の晴天や、風が去った後の物寂しい風景を取り合わせることで、秋ならではの哀愁を際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・動植物:芭蕉(葉が裂ける様子)、稲穂、芒(すすき)、落葉、梢 ・情景・事物:雨戸、障子、瓦、波頭、白波、土埃 ・時間・天候:夜半、夕暮れ、月、星合、朝晴れ

秋の大風」の俳句例 (3件)

秋の大風芭蕉を裂いて吹き去りぬ
正岡子規【現代語訳】秋の凄まじい大風が、庭の芭蕉の大きな葉を無残に引き裂いて吹き去っていった。 【鑑賞】風の暴威を、芭蕉の葉がズタズタに裂けるという具体的な視覚像で力強く写生した一句です。風の通過後の静けさと、残された傷跡の荒々しさが対比され、秋の自然の厳しさが鮮明に伝わってきます。
秋の大風吹き荒れて月出でにけり
高浜虚子【現代語訳】秋の猛烈な大風が激しく吹き荒れたあと、雲が吹き払われて澄みきった月が空に姿を現した。 【鑑賞】暴風の激しさと、その後に訪れた澄明な静寂の落差を捉えた名句です。風が塵や雲をすべて吹き飛ばしたからこそ、現れた秋の月が一層清らかに輝いて見えます。
秋の大風一筋の煙横たふる
飯田蛇笏【現代語訳】秋の大風が吹き荒れる中、立ち上るはずの煙が一筋、地を這うように真横へと流れている。 【鑑賞】風の強大さを直接叫ぶのではなく、「真横にたなびく煙」という一点の視覚描写によって見事に表現しています。厳しい自然と人の暮らしの営みが対比され、独特の緊張感と寂寥感が漂います。

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