秋の庭

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意味・由来

「秋の庭」とは、秋の気配が満ち、深まりゆく庭の情景を指す季語です。春や夏の青々とした躍動感から一転し、色づく木々、咲きこぼれる秋草、散り敷く落ち葉、そして物寂しく鳴く虫の声など、秋ならではの風情と静けさが漂います。庭という身近で日常的な空間の中に、移ろう季節の繊細な美しさや無常観、しみじみとした情感を見出す言葉として古くから親しまれてきました。

この季語で詠むコツ

「秋の庭」は視覚・聴覚・触覚など五感の広がりを持たせやすい季語です。ただ単に庭を広く眺めるだけでなく、日差しや影の移ろい、一輪だけ咲く花、乾いた落ち葉の踏み心地、あるいは庭を訪れる鳥や虫の微かな気配など、「庭のどこに焦点(カメラのピント)を当てるか」を明確にすると情景が鮮やかに浮かび上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

静けさや光、動作を表す言葉と好相性です。

  • 光や影:「木漏れ日」「夕日」「薄日」「長き影」
  • 音や気配:「虫の声」「箒の音」「静けさ」「風の音」
  • 庭の構成物・動作:「濡れ縁」「敷石」「手水鉢」「草引く」「掃く」

秋の庭」の俳句例 (3件)

秋の庭石蕗咲くばかり淋しけれ
正岡子規【現代語訳】秋の庭には、黄色いつわぶきの花が咲いているばかりで、いかにも寂しいことであるよ。 【鑑賞】晩秋の荒涼とした庭に、ひっそりと黄色い花を咲かせる石蕗(つわぶき)。その孤高で鮮やかながらも寂しげな佇まいを率直に詠み、病床から庭を見つめる子規自身の孤独感と静かな観察眼が響き合っています。
秋の庭猫の歩みのしづかなり
夏目漱石【現代語訳】秋の庭を、猫が足音も立てずに静かに歩いてゆく。 【鑑賞】澄んだ秋の空気の中、庭を横切る猫のしなやかで静かな足取りを捉えた一句です。「猫の歩み」という些細な動きを描くことで、かえって秋の庭全体の静寂と穏やかな時間の流れを際立たせています。
秋の庭草引きつくし夕日差す
高浜虚子【現代語訳】秋の庭の雑草をきれいに抜き終わったところへ、赤々とした夕日が差し込んでいる。 【鑑賞】庭仕事に没頭した充実感と、草を引き終えてさっぱりとした庭に斜めに差し込む秋の夕日の美しさが鮮やかに対比されています。日常の労働とその後に訪れる静謐な秋景を見事に切り取った名句です。

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