秋の更衣

秋の更衣

あきのころもがえ

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意味・由来

「秋の更衣(あきのころもがえ)」とは、夏の薄着から秋・冬の装いへと衣服を着替えることを指す初秋・仲秋の季語です。古くは平安時代の宮中行事に由来し、旧暦四月一日を「夏への更衣」、旧暦十月一日(または九月一日)を「冬への更衣」と定めて綿入れや袷(あわせ)に改める習わしがありました。現代では十月一日頃の衣替えが一般的ですが、朝夕の冷え込みを感じてタンスから長袖や羽織を出す日常の生活感と、深まりゆく季節への感慨が込められた季語です。

この季語で詠むコツ

単に「服を着替えた」という報告にとどまらず、布地を通した触覚や生活の細やかな変化を捉えるのがポイントです。夏物の麻や絽の軽やかさから、木綿や毛糸、袷の重み・温もりへと移る「肌触り」や「重さの違い」、防虫剤や箪笥の匂いなどを具体的に描写すると、秋の到来を実感する臨場感や風情が際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 衣服・素材:袷(あわせ)、羽織、木綿、ウール、袖、裏地
  • 道具・仕草:箪笥(たんす)、衣装箱、畳む、羽織る、取り出す
  • 感覚・情景:肌寒し、ぬくもり、夕風、日ざし、重み

秋の更衣」の俳句例 (3件)

更衣せし日より風冷やかに
高浜虚子【現代語訳】秋の衣替えをしたその日から、吹く風が一層冷ややかに感じられることだ。 【鑑賞】衣服を改めたタイミングと気候の変化が見事に合致した瞬間を詠んでいます。肌を包む布のぬくもりとともに、吹き抜ける秋風の冷たさが鮮明に際立つ、客観写生の王道を行く一句です。
衣更へて少し重たき袷かな
正岡子規【現代語訳】秋の衣替えをして袷を着てみると、夏の単衣に比べて少し重たく感じられることだ。 【鑑賞】薄手の夏服から裏地のある袷へと着替えた際の、肩にかかるわずかな重量感を素直に捉えています。衣服の重みを通じて、季節が確実に秋へと深まったことを実感させる生活味豊かな句です。
更衣母の形見をまづ着たる
久保田万太郎【現代語訳】秋の衣替えにあたり、亡き母の形見である着物を真っ先に取り出して着たのである。 【鑑賞】箪笥の奥から出した秋服の中に母の形見を見出し、愛惜の思いを込めて袖を通す情景です。衣替えという生活の節目に、亡き人への追憶と温もりが静かに重なり合っています。

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