秋の蛇

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意味・由来 「秋の蛇」は、晩秋の冷え込みが増すころ、冬眠を控えて動きが鈍くなった蛇を指す秋の季語です。夏の旺盛で素早く恐ろしい印象とは対照的に、弱々しく日差しを求めて石の上や小道を這う姿には、どこか哀愁や季節の衰微が漂います。去りゆく秋の寂寥感や生命の陰りを象徴する季語として親しまれています。 ### この季語で詠むコツ 夏の蛇のような俊敏さではなく、気温の低下とともに緩慢になった「鈍い動き」や「弱々しさ」を捉えるのがコツです。人が近づいても素早く逃げられない様子や、少しでも暖を取ろうと日なたにとどまる姿など、具体的な仕草を描写することで、晩秋ならではの物悲しさを際立たせることができます。 ### 相性のいい言葉・取り合わせ 「日なた」「温石(ぬくめいし)」「枯草」「夕日」「影」「鈍き歩み」「細き」など、秋の光や寒さ、静けさを感じさせる言葉とよく調和します。

秋の蛇」の俳句例 (3件)

日を吸うて長くなりたる秋の蛇
桂信子【現代語訳】秋の柔らかな日差しを全身に浴びて吸い込みながら、蛇がどこまでも細長く伸びているようだ。【鑑賞】晩秋の残る暖かさを惜しむようにじっと伸びている蛇の姿を、陽光を「吸う」という鮮やかな感覚で捉えた名句です。蛇の生々しさよりも、秋の光の美しさと静けさが際立っています。
秋の蛇ころげ出でたり人の足
高浜虚子【現代語訳】秋の蛇が、歩く人の足元へころりと弱々しく転がり出てきた。【鑑賞】足元に突然現れた蛇の様子を写生した句です。夏の蛇であれば素早く身を隠すところですが、寒さで体が思うように動かず「ころげ出でたり」となった無防備さに、秋の蛇特有の哀れさとユーモアが感じられます。
追はれては追ふものを見る秋の蛇
阿波野青畝【現代語訳】人に追われて逃げようとするものの、寒さで動きが鈍く、自分を追う相手のほうをじっと見つめ返す秋の蛇であることよ。【鑑賞】追われても機敏に逃げ切れない秋の蛇の鈍重な動きと、困惑したような表情を見事に捉えています。生き物の持つ物悲しさとどこか滑稽な一瞬を巧みに切り取った作品です。

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