秋に入る

秋に入る

あきにいる

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意味・由来

「秋に入る(あきにいる)」は、暦の上で立秋(8月8日頃)を迎えて秋の季節へと踏み出すこと、あるいは実際に秋の気配が感じられる季節の変わり目を表す初秋の季語です。同義語に「入秋(にゅうしゅう)」や「立秋」がありますが、「秋に入る」という和語の表現には、移ろう季節の門をくぐり、秋という新しい時間のなかに静かに身を置くような情緒的な響きがあります。真夏の厳しい暑さが残る時期であっても、朝晩の風や光、水辺の気配などにふと秋の訪れを感じる心の動きを捉える言葉です。

この季語で詠むコツ

「秋に入る」を使う際は、劇的な変化ではなく、日常のなかの「かすかな変化」や「ふとした気づき」を捉えるのがコツです。まだ日中は猛暑が続いていても、空の高さ、朝夕の涼風、虫の音、日暮れの早まりなど、五感で捉えた小さな兆しを具体的に描写しましょう。「秋に入る」という動作的な言葉自体に時間や季節の進行が含まれているため、下五や中七に具体的な景や物の状態を置くと、余韻のある引き締まった句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

季節の変わり目の繊細な変化を表す言葉と非常に相性が良いです。

  • 自然・天候:水の色、夕風、朝露、雲のかたち、山の端、日暮れ
  • 動植物朝顔、蜩(ひぐらし)、すすき、浅瀬の魚、庭草
  • 日常・感覚:灯影、素足、衣替え、文(ふみ)、澄む、冷やか

秋に入る」の俳句例 (3件)

朝顔や秋に入りたる水の色
加賀千代女【現代語訳】朝顔の花が咲いている。手洗いの水や小川の水をふと見ると、澄み切ってすでに秋に入ったかのような色合いを見せている。 【鑑賞】盛夏から咲く朝顔の瑞々しさと、季節が秋に入ってどこか透明感を増した水の色とを取り合わせた一句です。視覚と触覚を通じて、季節が確かに移り変わった瞬間を繊細に捉えています。
秋に入るや浅瀬の石を洗ふ波
飯田蛇笏【現代語訳】秋に入ったのだなあ。浅瀬の石を洗うように打ち寄せる波にも、どこか涼やかで澄んだ秋の気配が満ちている。 【鑑賞】川や湖などの浅瀬に寄せ返す波の動きに、初秋の清冽な空気感を映し出した句です。水そのものの冷ややかさや光の変化から、季節の訪れを静かに実感している情景が目に浮かびます。
秋に入るや日ぐれがちなる庭の草
久保田万太郎【現代語訳】秋に入ったことだなあ。庭の草むらも、夏の頃と比べてどこか日暮れが早くなり、あっけなく薄暗がりに包まれていく。 【鑑賞】まだ残暑はあるものの、確実に日が短くなってきた夕暮れ時の庭の草に焦点を当てています。「日ぐれがちなる」という独特の捉え方に、季節の移ろいに対する作者のしみじみとした情感と寂寥感が漂っています。

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