秋陰

秋陰

あきかげ・しゅういん

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意味・由来

「秋陰(あきかげ/しゅういん)」とは、秋の空一面が薄暗く曇っている様子や、その曇り空によってもたらされる独特の薄暗がり・静寂を指す季語です。漢語由来の言葉で、同じく秋の曇り空を表す「秋曇(あきぐもり)」に比べて、やや静謐で落ち着いた、あるいはもの寂しく沈鬱な陰影の美しさを漂わせます。澄み渡る「秋晴」とは対照的に、光が和らぎ陰影が深まることで、秋特有の物悲しさや深まりゆく季節の情感を際立たせる季語です。

この季語で詠むコツ

「秋陰」を使う際は、ただ単に「天気が悪い」と描写するのではなく、その薄暗がりの中で際立つものに焦点を当てるのがコツです。曇り空の柔らかな光の下で見える風景の色彩、水や木の葉の質感、あるいは室内に差し込むほの暗い光と人の心理の機微などを丁寧に捉えましょう。視覚だけでなく、静けさの中で際立つかすかな物音や肌寒さなどの五感を動員すると、陰影の深さがより生きてきます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や水辺の情景(池、川、水音、波、水底) ・室内の静けさ(障子、机、書物、窓、畳) ・植物や自然物(林、石、落葉、庭、樹影) ・静寂や内省を促す動詞・形容詞(ひるがえる、よどむ、暮れかかる、かすか、しづか)

秋陰」の俳句例 (3件)

秋陰や石をめぐりて水行かず
正岡子規【現代語訳】秋の曇り空の下、庭の池の水は石のまわりをただ巡るばかりで、どこへも流れていかない。【鑑賞】どんよりとした秋の陰りの中で、水の流れさえも滞っているように感じられる静止した時間を捉えています。秋陰特有の物憂さと、張り詰めた静けさが見事に表現された名句です。
秋陰や遠き林のひるがへる
芝不器男【現代語訳】秋の薄暗い曇り空の下、遠くに見える林の木々が風に吹かれて葉を翻している。【鑑賞】一面の灰色の曇り空と、遠くで風にひるがえる木の葉の裏の白さとのコントラストが鮮やかです。不器男らしい鋭い視覚と寂寥感が「秋陰」という季語によって一層引き立っています。
秋陰の障子へだてゝ水のおと
芥川龍之介【現代語訳】秋の曇り空のほの暗い光が差す部屋で、障子一枚を隔てた外からかすかな水の音が聞こえてくる。【鑑賞】薄暗い室内の障子越しに届く水音に意識を傾けています。視覚的な陰影と聴覚の鋭敏さが響き合い、孤独や内省的な静けさがしみじみと伝わってくる一句です。

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