うるか

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意味・由来

「鱁(うるか)」とは、鮎(あゆ)の内臓や卵巣・精巣を塩漬けにして熟成・発酵させた伝統的な珍味です。鮎の落ちる晩夏から秋にかけて作られ、秋の季語として扱われます。独特の強い風味、濃厚な塩気、そしてほろ苦さが特徴で、古くから酒の肴として愛されてきました。主に内臓で作る「渋うるか(苦うるか)」や、卵巣・精巣で作る「子うるか」「白うるか」などがあります。独特の苦味と旨味は、秋の深まりや哀愁、大人の渋い風情を象徴する味わいとして俳句に詠まれます。

この季語で詠むコツ

鱁は決して派手な食べ物ではなく、少しずつ箸先で舐めながら酒を味わうような侘びた情趣を持ちます。そのため、「秋の夜長」「夜寒」「月夜」「灯影」といった静かで少し寂しさのある場面とよく調和します。味覚(苦味・塩辛さ・濃厚さ)を直接描写するだけでなく、それを食す人の心理状態(孤独、しみじみとした安らぎ、旅愁など)や、酒器、夜更けの静けさといった空間描写に繋げるのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 酒・食関連: 盃(さかずき)、冷酒、燗酒(かんざけ)、箸先、小鉢
  • 情景・時間: 夜寒(よさむ)、秋深し、灯影(ほかげ)、夜長(よなが)、月夜、川風
  • 心情・状態: ほろ苦し、寂し、独り居、語らひ、舌ざはり

」の俳句例 (3件)

うるか食ふて舌のさびしき夜寒かな
内藤丈草【現代語訳】鱁(うるか)を口にして、そのほろ苦さが残る舌先に、しみじみとした寂しさを感じる夜寒のころであるよ。 【鑑賞】鱁の持つ独特の苦味と余韻を、秋の夜の冷え込み(夜寒)と結びつけた名句です。味覚の刺激が消えゆくあとの「舌のさびしさ」という繊細な感覚から、秋の深まりと孤独感が鮮やかに立ち上がります。
うるか買ふて川舟下る月夜かな
正岡子規【現代語訳】名物の鱁を手に入れて、川舟に乗って下っていく、美しく澄んだ月夜であることだ。 【鑑賞】川辺の土地で名産の鱁を買い求め、月明かりの中を舟で下る旅情豊かな句です。鮎の育つ清流の風情と鱁という季語が自然に調和し、秋の情緒ある舟旅の情景が絵画のように浮かびます。
箸先に少しづつ舐むうるかかな
富安風生【現代語訳】箸の先にほんの少しずつつけては舐め味わう、この鱁の旨さよ。 【鑑賞】鱁という濃厚で塩辛い珍味の食べ方を、的確に写生した一句です。がっつくのではなく、箸先で少しずつ舐める所作に、酒をじっくりと愉しむ大人の秋の宵のゆったりとした時間が表現されています。

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