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「茅花ぬく(つばなぬく)」は、チガヤ(茅)の若い花穂を引き抜く行為を指す春の季語です。まだ花穂が開ききらず、葉の鞘に包まれている柔らかい時期の茅花を引き抜いて噛むと、ほのかな甘みがあります。古くは『万葉集』にも詠まれており、かつての子どもたちにとって野原での格好のおやつであり、春の親しみ深い野遊びの一つでした。抜く時の「スポッ」と抜ける心地よい手応えと、素朴な甘さが春の訪れを感じさせます。
指先に伝わる感触や、口に含んだときの微かな甘み、青く爽やかな草の香りなど、五感を活かして詠むのが効果的です。また、幼少期の思い出や放課後の懐かしい情景と結びつきやすい季語でもあります。「土手」や「河原」といった長閑な春の風景の中に、童心や素朴な日常のワンシーンを切り取るように言葉を紡ぐと、実感がこもった温かい句に仕上がります。
・場所・風景:土手、河原、畦道、空、野原 ・感覚・動作:甘き、噛む、指先、引き抜く、香る ・人物・心情:童(わらべ)、放課後、幼き日、母、帰り道